薬局実務実習30日目 チェックポイント
薬局実務実習30日目 チェックポイントと学習内容
6週目が終了となります。
あと5週間となりますので、実習生も「調剤室の中の業務」は一通り指導薬剤師のアドバイス無しにある程度、自力で出来るようになってきた頃ですね。
服薬指導や、健康アドバイスといったカウンセリングは医薬品の知識が必要です。
最初は、「浅く広い」知識で応対できる簡単な処方箋で実際に「本物の」患者様で体験してもらいます。
繰り返しになりますが、
大きな項目として【1】~【5】があり、前半戦では主に【1】~【3】の薬局の中の業務を中心に行ってきましたが、後半戦は薬局の中の業務も継続しつつ、【4】、【5】の薬局の外で行う業務にも参加・体験してもらうことになります。
【1】薬学臨床の基礎
【2】処方箋に基づく調剤
・医薬品の調剤・在庫管理
・処方監査、疑義照会・安全管理
・服薬指導
【3】薬物療法の実践
・患者情報の把握
・医薬品の情報収集
・処方設計と薬物療法
【4】チーム医療への参画(SBOs1026~1038)
・地域におけるチーム医療
【5】地域の医療・保健・福祉への参画(SBOs1039~SBOs1060)
・在宅(訪問)医療・介護への参画
・地域保健(公衆衛生、学校薬剤師、啓発活動)への参画
・プライマリケア、セルフメディケーションの実践
・災害医療と薬剤師
すでに後半戦に入って、「薬局の外での業務」となる【4】、【5】のSBOsも少しずつスケジュールの中に組み込まれてきているので、実習生の成長を振り返りながら薬局薬剤師のいろいろな業務を体験できるように進めていけたら良いですね。
【30日目】第6週5日目
本日のスケジュール(学習目標) チェックポイントSBOs
AM1 P321 SBOs955
服薬指導(見学・ロールプレイ)
AM2 P404 SBOs1054
PM1 P406~407 SBOs1057
カウンター実習
PM2 P321 SBOs1005
服薬指導(見学・ロールプレイ)
PM3 P506~507 SBOs1059
災害時の役割
SBOs955;患者・来局者の病状や背景に配慮し、医薬品を安全かつ有効に使用するため
の服薬指導や患者教育が出来る。(知識・態度)
SBOs1054;来局者から収集した情報や身体所見などに基づき、来局者の病状
(疾患、重症度等)や体調変化を推測できる。(知識・態度)
SBOs1057;疾病の予防及び健康管理についてのアドバイスを体験する。
(知識・態度)
SBOs1005;代表的な疾患の患者について、診断名、病態、科学的根拠から
薬物治療方針を確認できる。
例えば、簡単な処方箋で実習生のパフォーマンス(能力)を確認するときには、初めは1剤の処方のみの患者様を担当してもらいます。
代表的な8疾患に「不眠症、睡眠覚醒リズム障害」がありますので、
「ゾルピデム酒石酸塩錠5mg 1錠 寝る前」
のみの処方箋を持参した患者様を担当してもらいます。
睡眠導入剤(眠剤)が処方されているので入眠障害で受診していることは実習生もすぐに判断できると思います。
継続使用中の患者様だと薬歴から判明したとして、今日は何を聞き出すか実習生に確認します。
実習生にとっては初期の服薬指導なので、
①睡眠状態の確認
②服用方法の確認
③残薬の確認
④副作用の確認
くらいが事前に挙げられればいいと判断します。
根拠となるのは下記の「服薬指導・概略評価表」となります。
患者・来局者応対、情報提供、教育〔C 服薬指導〕 | 個々の患者の病状経過を踏まえた薬物療法を分かり易く説明する。治療上の問題点を抽出・解析し、対応策を患者に提案する。 レベル4 |
患者の問題点に対する解決策に基づき、患者が理解できるように指導する。病態の変化に応じた処方薬変更の説明と継続的な指導を実践する。 レベル3 |
収集した患者や医薬品に関する情報に基づいて、資料を用いて説明し、服薬指導を行う。代表的な疾患に関する治療薬の効果および副作用・特に注意すべき事項等について指導を実践する。 レベル2 |
コミュニケーションの基本に基づいた患者応対を行う。服薬指導を行うために必要な患者情報を収集する。 レベル1 |
初めてなので、「レベル1」に到達していれば良いとします。「レベル1」以下の
「レベル0」があることを意識していきましょう。
実務実習に来た最初の頃は、知識も乏しくて、いかにも服薬指導どころか処方箋の受付等の患者応対も心配で任せられないレベルだったと思います。
6週間たって、そろそろ簡単な処方箋ならアドバイスをしながら任せられるレベルに来ていることに気づくのが重要です。
すなわち、「レベル0」から「レベル1」に実習生の能力が上がったという事です。このように「振り返り」を行いながら、定期的に実習生のパフォーマンス(能力)を評価することが実務実習では大切になります。
実際に服薬指導に行ってもらい、
①睡眠状態の確認→ 服用すれば、よく眠れます。
②服用方法の確認→ 布団に入る直前に服用します。
③残薬の確認→ 毎日、必ず服用するので余っていません。
④副作用の確認→ 日中の眠気なし。
と確認が取れれば問題ないとします。
もちろん、患者様も感じのいい話のしやすい患者様を指導薬剤師が選んでいるのでこのようにうまくいくと思います。
事実に基づいて薬歴にも記載してもらい、初めての服薬指導は終了です。
レベルが上がってくれば、
①睡眠状態の確認→ 何時間くらい寝られるのか
本人は何時間くらい寝られると満足なのか
②服用方法の確認→ 布団には何時ころ入ることが多いか
アルコールを飲用することがあるのか
③残薬の確認→ 寝られなくて2錠服用することは無いか
④副作用の確認→ 夜中にトイレに起きた時は大丈夫か
⑤生活習慣の確認→ 起床時間の確認
昼寝はするか
寝る前にリラックスできているか
カフェインやニコチンの摂取状況
⑥他科受診、併用薬の有無
などなど、指導薬剤師(レベル4)のレベルになればいくらでも出てくると思います。
何度も、繰り返し体験することで実習終了時にはレベル3に到達できるように指導しましょう。
また、睡眠導入剤は種類がたくさんありますので、この機会にその他の同効薬をまとめておくように促し、学習の効率も上げていけるといいと思います。
ブログの代表的な8疾患の記事に具体的な疾患を追加(例示)しましたので参考にしてください。
SBOs1059;災害時における地域の医薬品供給体制・医療救護体制について
説明できる。
実務実習中に、1日かかってしまいますが卸さんの配送センターに実習生を連れて見学に行きます。我々、薬剤師にもとても役に立つお話をしてくれるので、是非一度、予約をして見学に行くといいと思います。
物流機能や災害時の配送機能など丁寧に説明していただけます。わたくしの薬局では、「アルフレッサ」さんに協力してもらっています。