薬局実務実習11週間(55日)13日目のスケジュール
薬局実務実習11週間(55日)13日目の
スケジュール
13日目になります。
日々、実習生が業務をこなしながら、出来ることが増えてきている時期ですね。最初はぎこちなかった動作も、薬局の医薬品の配置を覚えたり、薬局のスタッフとも慣れてきていろいろ会話も増えてきたのではないでしょうか?
新コアカリによる薬局実務実習は、参加・体験型を基盤にしていますので業務の流れに沿って実習していただく形になります。このブログでは、日々のスケジュールを掲載していますが実習生が業務の流れに乗って薬剤師として必要な能力を身につけていけば、特にこだわらずに進行していってもいいかもしれません。しかし、目標やチェックポイントを作ることでより質の高い実務実習になると思いますので、現場の指導薬剤師は大変ですが、未来の薬剤師にたくさんの事を吸収してもらえるような実務実習を目指していきましょう。また、繰り返し行うことでその「能力」の「質」を上げていくことが大切となりますので、何回も同じことにトライさせて速く、かつ的確に薬剤師業務をこなせるようにしていきましょう。
実習生の業務の質は、日本薬剤師会の概略評価表を利用してチェック、評価します。
A「医薬品の調製」
B「処方監査・医療安全」
C「服薬指導」
D「薬物療法の実践」
の4項目に分けて、評価表が作成されていますので日々のチェックに活用していきます。
薬局の現場では、日々患者様が来局されますので実習生は「医薬品の調製」だけを行う訳ではありません。薬局業務の一連の流れの中で実習をするので、「処方監査」、「服薬指導」、「薬物療法の実践」という4つの項目を横断的に実習するように心がけていきましょう。
そして、指導薬剤師は実習生のその時のレベルに合わせてどういったシチュエーションが必要なのかを考えることが必要となります。例えば、同じ「調剤業務」でも2~3種類の調剤の場合もあれば、粉砕調剤があったり一包化調剤があったりでそれぞれ難易度が違うと思います。この難易度を今現在の実習生に合ったレベルで提供して学んでもらうことを「方略」といい、すなわち「学習環境をデザイン」することになります。
学習成果基盤型教育(OBE)で行う実務実習において指導薬剤師は常にカリキュラムの3要素である、「目標」、「評価」、「方略」を意識して実習に取り組むことが大切です。
【13日目】第3週3日目
本日のスケジュール(学習目標) チェックポイントSBOs
AM1 P317 SBOs924
服薬指導の基礎・薬歴の意義、記載事項
AM2 P318 SBOs956
小児、妊婦、高齢者の服薬指導
PM1 P204 SBOs991
薬歴からの患者情報の把握
PM2 P208 SBOs986
患者への説明
PM3 P406~407 SBOs955
カウンター実習
SBOs924;薬歴、診療録、患者の状態から判断して適切に疑義照会ができる。
(技能・態度)
SBOs956;妊婦・授乳婦、小児、高齢者等、特別な配慮が必要な患者への
服薬指導において、適切な応対ができる。(知識・態度)
SBOs991;患者・来局者及び種々の情報源(薬歴、指導記録、お薬手帳、持参薬等)
から、薬物療法に必要な情報を収集できる。(技能・態度)
SBOs986;(前)基本的な医療用語、略語の意味を説明できる。
SBOs955;患者・来局者の病状や背景に配慮し、医薬品を安全かつ有効に使用する
ための服薬指導や患者教育ができる。(知識・態度)
例えば、一言に「疑義照会」といっても簡単な症例からとても難易度の高いものまで様々な疑義照会が現場ではあると思います。実習生が慣れてきて、初めて医療機関に疑義照会を行うときにはどのような症例が妥当、適当であるかを指導薬剤師は考えてこれなら初めての実習生でも出来るだろうと考えて環境を提示すると思います。
【疑義照会シナリオ 例1】
久しぶりの小児の患者様、6歳11か月(男児)、春の花粉症で医療機関を受診
処方箋には、シングレアチュアブル錠5mg 1錠 就寝前
アレロックOD錠5mg 2錠 朝、就寝前
の記載あり。
指導薬剤師と一緒に調剤していると実習生がアレロックOD錠5mgの投与量の多さに気づいた。
実習にも慣れてきたし、門前の医療機関にも実習生の存在が知られているので、ここは実習生に疑義照会をさせてみよう。
といった感じはいかがでしょうか?
初めての疑義照会ですので、実習生も緊張すると思いますが、これまでの実習生の患者様への応対や医薬品配送のMSさんとのコミュニケーション能力を評価して、これならきっとうまく疑義照会を遂行できるだろうと指導薬剤師が判断して体験させることになります。このように実習生に学習環境をデザインして提示することが「方略」であり、とても大切な指導薬剤師の役割となります。初めてなので、事前にどうやって疑義照会をするか軽くロールプレイングや打ち合わせも必要になるかもしれませんので、指導薬剤師はそのあたりも適切な判断が必要です。
SBOs956;妊婦・授乳婦、小児、高齢者等、特別な配慮が必要な患者への
服薬指導において、適切な応対ができる。(知識・態度)
妊婦への服薬指導
・妊娠可能な年齢の女性であれば必ず妊娠を考慮する意識を持つ。
・妊娠していることがわかったら、万一のことを考慮して医師に妊娠していること
を伝えてあるか、必ず確認しましょう。たまに、うっかり言い忘れたという患者
様もいますので確認は必要です。
・薬物治療の有益性と危険性を薬学的に考慮した服薬指導を行うが、医師が確認済
みで処方されていれば、有益だと判断した処方である可能性が高いので指導には
細心の注意を払う。
授乳婦への服薬指導
・妊婦と同様で医師に伝えてあるかを必ず確認する。
・服用中の授乳の継続の是非を医師から聞いているかを確認する。
(授乳中は禁忌の薬物)
シクロホスファミド,シクロスポリン,ドキソルビシン ,メトトレキサート
リチウム,放射性ヨードなど
・医師の判断と違う説明をすると患者様が不安になるので、指導に迷ったときは
必ず医師の説明を薬剤師も確認する。