薬局実務実習23日目 チェックポイント
薬局実務実習23日目 チェックポイントと学習内容
調剤報酬請求業務も薬局の大切な業務ですが、新コア・カリではチェックポイントとなるSBOsはありません。
確かに、普段からレセコン入力や保険請求業務は受付事務員の業務になってしまっているので薬剤師の業務としての重要度は高くないかもしれません。しかし、薬局の経営面で考えると知識としては薬剤師にもあったほうがいい知識ですので、わたくしの店舗ではレセプト関連の教育も組み込むようにしています。
【23日目】第5週3日目
本日のスケジュール(学習目標) チェックポイントSBOs
AM1 P326 SBOs907
調剤報酬請求、レセプトの作成
AM2 P327 SBOs907
調剤報酬の仕組み
PM1 P406~407 SBOs909
カウンター実習
PM2 P204 SBOs989
薬歴からの患者情報の把握
PM3 P514 SBOs1013
健康被害問題
SBOs907;保険評価要件を薬剤師業務と関連付けて概説することができる。
薬剤師の調剤技術への評価点数に関するチェックポイントです。
調剤報酬は、
調剤基本料+薬学管理料+調剤技術料+薬剤料+特定保険医療材料料
からなっており、
算定は「健康保険法」の別表「調剤報酬点数表」により定められています。
それぞれの項目には、「加算点数」があるので条件をすべて満たした場合はこれをさらに加算して算定する。
・薬局・薬剤師の「質」に対する点数
調剤基本料 41点など
加算点数
地域支援体制加算 35点
後発医薬品調剤体制加算
1(75%)18点 2(80%)22点 3(85%)26点
時間外加算、休日加算、深夜加算(*調剤技術料にも加算)
薬学管理料
薬剤服用歴管理指導料
かかりつけ薬剤師指導料(73点)
在宅患者訪問薬剤管理指導料
外来服薬支援料(185点)
服薬情報等提供料(1 30点 2 20点)
服用薬剤調整支援料(125点)
退院時共同指導料(600点)
加算点数
特定薬剤管理指導加算(10点)
麻薬管理指導加算(22点)
乳幼児服薬指導加算(12点)
重複投薬・相互作用等防止加算(40点・残薬30点)
・薬剤師の調剤技術に対する点数(調剤技術料)
内服薬調剤料
浸煎薬調剤料(190点)
湯薬調剤料
内服用摘剤調剤料(10点)
頓服薬調剤料(21点)
外用薬調剤料(10点)
注射薬調剤料 (26点)
加算点数
毒薬(8点)
自家製剤、計量混合、嚥下困難者用製剤、一包化
無菌製剤処理
・医薬品の公定価格(薬価)に対する点数
薬剤料
特定保険医療材料料
実習生には、調剤報酬の基礎を学んでいただき薬剤師が医薬品を取り揃えたり調製することは薬剤師しかできない業務・技術であるために報酬が発生していることを知っていただきます。
調剤や医薬品の調製は「物」に対する業務、薬学的な指導(カウンセリング)や在宅業務を「人」に対する業務だと考えると、今後は調剤技術料は機械化が進み縮小し、本質的に薬剤師しか出来ない業務である薬学管理料が評価され増えるのが薬局業界の流れであることも説明します。
SBOs909;来局者の調剤に対して、処方箋の受付から薬剤の交付に至るまでに
継続して関わる事が出来る。(知識・態度)
SBOs989;(前)基本的な身体所見を観察・測定し、評価できる。(知識・態度)
こちらも5週目に入りましたので、徐々に「物」に対する業務から「人」に対する業務の量を増やしていくSBOsになります。調剤室の中の業務は確実に日々、上達していきますのでそれに伴い調剤室の外の業務の量を増やしていきましょう。
新患様の初回質問表は、身体所見を聞き出すにはいい機会となりますので積極的にカウンター業務を体験してもらうようにします。小児であれば、必ず体重を確認して調剤しなければならないので適切な態度で聞き出せようにコミュニケーション能力を高めていきましょう。
患者・来局者応対、情報提供、教育〔C 服薬指導〕 |
個々の患者の病状経過を踏まえた薬物療法を分かり易く説明する。治療上の問題点を抽出・解析し、対応策を患者に提案する。
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患者の問題点に対する解決策に基づき、患者が理解できるように指導する。病態の変化に応じた処方薬変更の説明と継続的な指導を実践する。
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収集した患者や医薬品に関する情報に基づいて、資料を用いて説明し、服薬指導を行う。代表的な疾患に関する治療薬の効果および副作用・特に注意すべき事項等について指導を実践する。
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コミュニケーションの基本に基づいた患者応対を行う。服薬指導を行うために必要な患者情報を収集する。 レベル1 |
こちらが、来局者への応対・服薬指導に対する「概略評価表」です。
まずは服薬指導前に必要な、接遇能力を向上させて、レベル1の段階の
コミュニケーションの基本に基づいた患者応対を行う。
服薬指導を行うために必要な患者情報を収集する。
が、出来るように指導薬剤師は学習環境を設定していきます(方略)。
SBOs1013;(前)代表的な疾患に用いられる医薬品の効果、副作用に関して
モニタリングすべき症状と検査所見等を具体的に説明できる。
代表的な8疾患に関するSBOsです。
がん | 高血圧 | 糖尿病 | 心疾患 | 脳血管障害 | 精神神経疾患 | 免疫・アレルギー疾患 | 感染症 |
例えば、「糖尿病」に関して考えてみると
【効果】
短期;血液中の糖の値を下げる
長期;合併症の予防(心、腎、脳血管疾患、網膜症、神経障害)
【副作用】
全体的な副作用;低血糖、シックデイ
血糖値
50mg/dl 強い空腹感・だるさ
冷や汗 顔面蒼白
動悸が激しくなる
頭痛 悪心
吐き気 目のかすみ
集中力の低下 意識もうろう
30mg/dl けいれん 昏睡
対処方法;上記症状を感じたら直ちににブドウ糖(10g)、ブドウ糖を含む清涼
飲料水(150〜200mL)、砂糖(10〜20g)などのいずれかをとり、
安静にする。
これで15分~20分で血糖値が約50mg/dl上昇し、症状が治まります。
例;ビスケットなら40Kcalでブドウ糖約10g
ヤクルト(65ml/本)3本でブドウ糖約10g
など
【医薬品別の副作用、モニタリングすべき症状など】
インスリン製剤 皮下脂肪の萎縮または肥厚
GLP-1受容体刺激剤 消化器症状(腹痛、下痢、便秘)
SU剤 体重増加 腎機能 肝機能
ビグアナイド剤 乳酸アシドーシス 腎機能 肝機能
αグルコシターゼ阻害剤 腸閉塞 放屁増加 肝機能
DPP-4阻害剤 急性膵炎 肝機能 腎排泄型は腎機能
【検査所見】 ; 空腹時血糖 HbA1c 体重
腎機能(eGFR クレアチニン値)
肝機能(AST ALT)
知識の掘り下げはゴールはありませんのでまだまだ必要なことはありますが、実習生なので、これぐらいのキーワードに対して列挙・説明が出来るように指導します。