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薬局実務実習の進め方2019

薬局実務実習19日目 チェックポイント

薬局実務実習19日目 チェックポイントと学習目標

 

 最近では珍しくない薬局の在宅訪問業務ですが、わたくしの薬局もなかなか在宅業務に恵まれない時期があり、この学習目標には苦労した思い出があります。

 

地域性やDr.の力の入れ方に影響されるので在宅をやっていない薬局は大変です。地域薬剤師会が中心となって実習の協力薬局を作っている地域もあるようです。そのような協力薬局が在宅をやっているようなら協力薬局に依頼するのも一つの手です。

 また、最近では施設在宅を受けている薬局も多いので施設在宅の医薬品のセットや施設との共同カンファレンスなどに同行させるのも勉強になると思います。法的に在宅での調剤や服薬指導が認められた経緯などを実習生に説明することも大切です。

 

 薬剤師は 薬剤師法( 昭和35年法律第146号 第22条)の規定により 原則 、薬局以外の場所で、販売又は授与の目的で調剤してはならないこととされていますが 「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律 (平成18年法律第84号 )により薬剤師法の一部改正が行われ 、薬剤師は医療を受ける者の居宅等において医師又は歯科医師が交付した処方せんにより、当該居宅等において調剤の業務の一部を行うことができるようになりました。

○薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)
(調剤の場所)
 第二十二条

 薬剤師は、医療を受ける者の居宅等(居宅その他の厚生労働省令で定め る場所をいう。)において医師又は歯科医師が交付した処方せんにより、当該居宅等において調剤の業務のうち厚生労働省令で定めるものを行う場合を除き、薬局以外の場所で、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設(獣医療法(平成四年法律第四十六号)第二条第二項に規定する診療施設をいい、往診のみによつて獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者の住所を含む。以下この条において同じ。)の調剤所において、その病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設で診療に従事する医師若しくは歯科医師又は獣医師の処方せんによつて調剤する場合及び災害その他特殊の事由により薬剤師が薬局において調剤することができない場合その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合は、この限りでない。

 

【19日目】第4週4日目

 

本日のスケジュール(学習目標)              チェックポイントSBOs

 

AM1 P402              SBOs1050

    健康管理アドバイス

AM2 P306                                     SBOs924

    薬歴からの処方内容の妥当性判断

PM1 P406~407                                 SBOs946

    カウンター実習

PM2 P501                                               SBOs1039

    在宅の説明、話し合い

PM3 P501                                               SBOs1040

    在宅(できれば訪問)

 

 

 

 SBOs1050;(前)代表的な症候(頭痛・腹痛・発熱等)を示す来局者について、適切

       な情報収集と疾患の推測、適切な対応の選択ができる。(知識・態度)

 

 「症候学」についてのSBOsです。

薬局薬剤師は、来局された方の症状や既往歴などを精査して、OTCで治療が可能なのか受診が必要なのか「トリアージ」する能力も必要です。

 来局者の自覚症状に関する聴取には標準的な手法として、

    「LQQTSFA」

 の手順が一般的に用いられます。

 

  ocation         部位     どこが?

  uality         性状     どのように?

  uantity          程度     どのくらい?

  iming        時間と経過   いつ? いつから?

  etting         状況     どんな状況で?

  actor       寛解・増悪因子   どんな時に悪くなる(良くなる)?

  ssociated manifestation 随伴症状   同時にどんな症状があるか?

 

 そして、既往歴、服薬歴、アレルギー歴、副作用歴等を精査して治療方法を選択 

 します。

 例えば、頭痛に関して考える時には、まず頭痛という症状があったときにどれだけの種類の疾患をイメージ出来るかが重要です。

 

  緊張型頭痛 偏頭痛 群発頭痛   (一次性頭痛)

 

  クモ膜下出血 外傷(頭をぶつけた等) 脳梗塞 脳腫瘍 てんかん

  薬物乱用 二日酔い 医薬品の副作用 感染症 高血圧 緑内障

  副鼻腔炎 中耳炎 三叉神経痛 帯状疱疹 うつ病等神経性 風邪  など

                     (二次性頭痛)

 

  風邪や二日酔いに伴う頭痛であれば、OTCのロキソニンSで治療が可能ですが

 それ以外の頭痛であれば、受診勧奨が必要になりますのでやはり、情報収集が大切になってきます。

 

 

  SBOs924;薬歴、診療録、患者の状態から判断して適切に疑義照会ができる。

                              (技能・態度)

  疑義照会にも難易度がいろいろありますので、難易度を意識して実習生に実際に疑義照会に取り組んでもらいます。

 【例】

 ・単純な入力ミス(ビオフェルミン配合錠 60錠 分3など)

 ・処方忘れ・医薬品の追加、日数の増減(残薬がある・予約日との差異)

 ・Dr.の説明と処方箋の食い違い

   薬が変わることを聞いていない

   薬が変わると言っていたのに変わっていない など

 ・投与期間に制限がある医薬品(PPIなど)

 ・通常、初回から使用しない医薬品が初めて処方されている

 ・他科で服用中の医薬品との禁忌、重複投薬防止

 ・患者情報との食い違い

   小児の年齢、体重との誤差

   抗がん剤など体表面積と用量の差異

 ・休薬に注意が必要な医薬品が中止になっている

 

 など、毎日さまざまな疑義照会が発生していると思いますので、初めは簡単な症例から体験していただきます。

 また、場合によっては返答があるまでに時間がかかり、患者様の待ち時間が長くなることもありますのであらかじめ患者様には了承を取っておくことが大事です。 

 

 【参考】

 重複投薬・相互作用等防止加算
 イ、ロ
医師と連携して服用薬の減薬等に取り組んだことを評価するため、重複投薬・相互作用防止加算(薬剤服用歴管理指導料等への加算)については、算定可能な範囲を見 直す。見直しに伴い、疑義照会により処方内容に変更がなかった場合の評価は廃止す る。
・ 重複投薬・相互作用等防止加算は、薬剤服用歴の記録又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、次の内容について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。ただし、複数の項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。なお、薬剤服用歴管理指導料を算定していない場合は、当該加算は算定できない。
残薬調整に係るもの以外の場合 40点

・併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)・併用薬、飲食物等との相互作用・そのほか薬学的観点から必要と認める事項


残薬調整に係るものの場合 30点
・ 重複投薬・相互作用等防止加算の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載する。
・ 同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。

 

  SBOs946;(前)患者・来局者から必要な情報(症状、心理状態、既往歴、

       生活習慣、アレルギー歴、薬歴、副作用歴等)を適切な手順で

       聞き取ることが出来る。(知識・態度)

 

  SBOs1039;(前)在宅医療・介護の目的、仕組み、支援の内容を具体的に

                            説明できる。

  SBOs1040;(前)在宅医療・介護を受ける患者の特色と背景を説明できる。

 

 個人宅、施設での在宅業務は薬局での一連の業務と同じですが、医療と介護が複合的に絡み合っているので、関わる法律が増え、薬剤師がコミュニケーションをとるコメディカルも増え、より多くの配慮が必要になってくる業務です。また、介護保険制度と医療保険制度という2つの保健制度があるのでそれぞれに対する理解が必要となります。

 ・医療保険制度  「在宅患者訪問薬剤管理指導」

 ・介護保険制度  「居宅療養管理指導」

                      *介護保険制度が優先 

 在宅業務は、介護保険制度が優先となるため多くの場合は「居宅療養管理指導」が対象となります。

 介護保険で利用できるサービスは、

   「居宅サービス」、「地域密着サービス」、「施設サービス」

 があり、介護支援専門員が介護者の程度に応じて「ケアプラン」を作成します。

 

 介護支援専門員は、「介護保険法」に規定された専門職で、居宅介護支援事業所や介護保険施設に必置とされている職種で、一般にケアマネジャーとも呼ばれています。

介護支援専門員は、介護保険法第7条第5項において、

 要介護者又は要支援者(以下、要介護者等)からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ各種サービス事業を行う者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けたもの。

 とされています。

 薬局の「居宅療養管理指導」もケアプランに含まれるものなので、在宅が始まる前に患者様と契約書を交わす必要があり、訪問後は報告書を作成して医師だけでなく必ずケアマネージャーにも報告することになります。