sikkouyakuin1118’s blog

薬局実務実習の進め方2019

薬局実務実習20日目 チェックポイント

薬局実務実習20日目 チェックポイントと学習内容

 

 第4週目、最終日です。

 

 調剤、監査、疑義照会、服薬指導など一通り出来るようになって来たら、繰り返し業務の流れに乗って参加・体験する時期です。繰り返し参加・体験することで業務の「質」が上がっていくことをイメージして、徐々に難易度の高い業務にも挑戦してもらいましょう。

 本日のチェックポイントSBOsも以前に出てきたものばかりです。4週目が終わるので、学生のパフォーマンスの質を概略評価表を活用して「評価」する時期です。ゼロックスシステムに各項目ごとの評価表が出ていますので、それに基づいて評価することになります。

 各評価表は4段階になっていますので、実習生の能力がどのレベルにあるかを指導薬剤師は明確な(責任ある)主観で評価します。個々の能力が違いますので、レベル1だったりこの項目はレベル3まで行っている、など様々だと思います。

 実務実習での評価は、卒業や合否を判断する「総括的評価」ではなく、フィードバックを目的とする「形成的評価」となりますので、「11週間終了するまでにはこんな風に成長できるといいね」と今の自分と未来の自分がイメージできるような投げかけが出来る評価がいいと思います。

 

 処方箋と疑義照会の概略評価表(ゼロックスシステム)

処方監査と疑義照会〔B 処方監査・医療安全〕 患者の病態およびナラティブ、治療の科学的根拠に基づいて、処方の妥当性を判断する。 医薬品情報および患者情報をもとに、処方内容を監査する。医師や医療スタッフと患者に関する情報を共有(疑義照会を含む)する。 実習施設内で扱うすべての処方箋と調剤薬に関して医薬品情報を基に適切に監査ができ、必要に応じて疑義照会を実施する。 単純な処方箋(※参照)および調剤薬の監査を行い、リスク回避のための対応方法を実施する。※①処方内容を構成する医薬品の数が2~3種類と少ない処方、②1つの疾患に対する処方

 【監査・疑義照会】

 

 レベル1

 初期の段階では、処方箋だけを監査出来る事を習得する。

 監査することは、保険請求上の監査となります。

 すなわち保険医が添付文書の「効能・効果」、「用法・用量」通りに処方されている

 かを監査します。

 (例)バルサルタン錠40mg 2錠 1日2回朝・夕食後

    適応上、1日1回の医薬品と気づけるか(こういった処方もありますが。)

 

 レベル2

 次の段階は、処方されている医薬品が多い処方箋に挑戦。

 日々、添付文書を熟読して早い段階で薬局の多く(全て)の処方箋医薬品の情報を

 インプットする。(ここでも保険請求上の監査。)

 

 レベル3 

 更に質の高い段階では、処方箋だけでなく薬歴やお薬手帳の情報も精査して

 患者様一人ひとりの情報も含めて監査が出来るようになる。

 保険請求上の監査だけでなく、他科処方薬との禁忌や相互作用を含めて

 監査出来るようになる。

 

 レベル4

 患者様のナラティブまで踏み込んで処方の妥当性を判断できる。

 実習中は、このレベルまで求めないが理想の薬剤師像をイメージする目的で提示。

 ナラティブとは、物語、語りの意味。

 NBM(Narrative-based Medicine ナラティブ・ベイスト・メディスンー物語に基づいた医療ー)と最近では使用されることが多い。患者が対話を通じて、病気になった理由や経緯、病気についてどのように考えているかなどの「物語」から,薬剤師は病気の背景や人間関係を理解し、患者の抱えている問題に対して身体的、精神・心理的、社会的にアプローチしていこうとする臨床手法である。NBMは患者との対話と信頼関係を重視する。

 

 疑義照会・医療安全に関して4週間くらいですとまだレベル1~レベル2のあたりの評価になると思います。単純に「疑義照会」と考えても、まだ実習生だけでは疑義照会をすべき案件を発見できないレベルだと思います。

 ではどうしたら、指導薬剤師の助言無しで疑義照会をすべき点を発見できるようになるでしょうか?

 やはり、まずは「知識のインプット」という事になります。

レベル2に到達していただくには、薬局内の「すべての医薬品に関して」最低でも、効能効果・用法用量を把握しておかないと監査・疑義照会ができないと考えます。

そしてレベル3の監査・疑義照会は、更に患者様の情報を加味して行うことになりますので処方箋だけでなく、お薬手帳や薬歴の情報も精査できる能力が必要になってきます。

 

【20日目】第4週5日目

 

本日のスケジュール(学習目標)       チェックポイントSBOs

 

AM1 P319                 SBOsなし

    説明が必要な薬剤の使用方法

AM2 P304-1               SBOs955

    処方箋の受付、医療人としての態度、話ができる工夫、

    服用上の問題点の把握

PM1 P208                                   SBOs957

    患者への説明

PM2 P512                                   SBOs1048

    誤飲、誤食/食中毒へのアドバイス

PM3 P503                                                     SBOs1027

    医療関係職種との連携、病院薬剤師との連携

 

 

 SBOs955;患者・来局者の病状や背景に配慮し、医薬品を安全かつ有効に使用する

      ための服薬指導や患者教育が出来る。(知識・態度)

 SBOs957;お薬手帳、健康手帳、患者向け説明書等を使用した服薬指導ができる。

                                  (態度)

 SBOs1048;地域住民の衛生管理(消毒、食中毒の予防、日用品に含まれる化学物質

       の誤嚥、誤飲の予防等)における薬剤師活動を体験する。

                               (知識・技能)

 SBOs1027;(前)多様な医療チームの目的と構成、構成員の役割を説明できる。

 

 医療・福祉・介護に関わる施設は多くの種類がありますので整理しておく必要があります。

 

 【公的機関】 

  ・特別養護老人ホーム(特養)

    医師の常勤の義務がない施設

  ・介護老人保健施設老健

    医師が常勤している(100人当たり1人)

  ・介護療養型医療施設(療養型病床)

    医師の比率が多く常勤(100人当たり3人)

 

 【民間機関】

  ・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

  ・介護付き有料老人ホーム

     ・住宅型有料老人ホーム

                など

 

  医療チームの構成員

 

  医師、歯科医師、看護師、薬剤師、歯科衛生士

  ケアマネージャー、作業療法士理学療法士介護福祉士、管理栄養士

  など

 

  作業療法士(OT)

   国家資格であり、医師の指示のもと「作業療法」を行う資格です。

   日常生活における基本動作・運動能力が回復した人に向け、応用動作能力

   と社会的適応能力を回復させるための指導や助言を行います。

  理学療法士(PT)

   国家資格であり、医師の指示のもと「理学療法」を行う資格です。

   高齢者や人体機能障害を持つ人に日常生活における基本動作・運動能力回復・

   維持のためマッサージや体操、温熱・光線・電気療法・スポーツなど物理的な

   治療を用いながらリハビリテーションの指導や助言を行います

  介護福祉士(ケアワーカー)

   国家資格であり、介護が必要なお年寄りや障害のある人に対して、スムーズ

   な日常生活が送れるように、食事や入浴、排泄、歩行などの介助や介護者から

   の相談に応じてアドバイスをしたり、介護者の精神面での支えになったりたり

   することが主な仕事です。

  管理栄養士

   国家資格であり、高度な専門知識と技能を用いて、病気や怪我をした人や

   施設などで多数の人の療養のための栄養指導にあたります。