薬局実務実習11週間(55日)9日目のスケジュール
薬局実務実習11週間(55日)9日目の
スケジュール
11週間の実務実習期間中に、わたくしの薬局では2回ほど懇親会を実施いたします。目的は、単なる飲み会ではなく、「懇親を深める」ことと薬局全体として(指導薬剤師だけでなく)実習生を「歓迎している」ことをスタッフ全員で理解・共有するためです。
薬局という空間でも確かに時間とともに人間関係は深まっていきますが、より深く理解しあうためにはやらないよりはやったほうが良かったといつも感じています。
実習生も成人しているのでお酒も入り、より個々の人間性がでて活発な意見が出たりもするのが面白いと感じています。何で薬学部を目指したのか、どんな薬剤師になりたいのか、将来はどんな職業に就きたいのかなど、とても盛り上がる会となっています。
時期的には、ちょうどこのころに開催するとタイミングとしてはばっちりだと思います。また、わたくしの薬局では成果発表会も終盤で実施しますので、2回目の懇親会は「打ち上げ」という事で、日程が合えば実習最終日に実施しています。
「成果発表会」ですが、11週間の実務実習の成果を発表していただきますのでこれもちょうどこの時期くらいから「テーマ」を指導薬剤師と一緒に考えていく時期に入ります。症例提示や患者アンケートを集計するようなテーマを選択することもあるので、このくらいの時期にテーマ設定をできるといいでしょう。
今までの実習生が発表した内容としては、
お薬手帳の更なる活用を考える
調剤ミスを防ぐ調剤棚を考える
棚を整理して、正確に素早く調剤するには
服用しにくい漢方薬を工夫してコンプライアンスの向上に寄与する
小児の粉薬、シロップの調剤時や服用時に注意すること
GE医薬品に関する患者様の印象、AGのメリット
健康食品を進めるときの手順
など、実習生の個性が見える成果発表がたくさんありました。これからの薬局は、「対物業務」よりも「対人業務」の割合が増えてきますし、薬剤師もコミュニケーション能力を求められることを考えると調剤室の中の事よりも患者様と関わるテーマで成果発表をしてもらいたいと感じています。
【9日目】第2週4日目
本日のスケジュール(学習目標) チェックポイントSBOs
AM1 P511 SBOs1048
日用品への関わり
AM2 P314 SBOs970
PM1 P406~407 SBOs908
カウンター実習
PM2 P310 SBOs936
計数調剤
PM3 P104 SBOs971
アイティムの管理
SBOs1048;地域住民の衛生管理(消毒、食中毒の予防、日用品に含まれる化学物質
の誤嚥誤飲の予防等)における薬剤師活動を体験する。(知識・技能)
SBOs970;劇薬・毒薬・麻薬・向精神薬及び覚せい剤原料の適切な管理と取扱いが
説明できる。(知識・技能)
SBOs908; 薬局における薬剤師業務の流れを相互に関連付けて説明できる。
SBOs936;錠剤の粉砕、およびカプセル剤の開封の可否を判断し、実施できる。
(知識・技能)
SBOs971;特定生物由来製品の適切な管理と取扱いを体験する。(知識・技能)
SBOs1048;地域住民の衛生管理(消毒、食中毒の予防、日用品に含まれる化学物質
の誤嚥誤飲の予防等)における薬剤師活動を体験する。(知識・技能)
このSBOsは、項目でいうと応用編になる
(5)地域の保健・医療・福祉への参画
に関するものです。現場の保険調剤業務を行いながら、薬局薬剤師のその他の業務に関しても学習していただく必要がありますので、患者様の来局が少ない時間を使って説明、討議をします。施設の在宅に関わっていると、施設のスタッフから消毒や食中毒に関する質問などもありますので薬剤師としては必要な知識となります。また、薬局の電話は地域支援体制加算を取得していると24時間対応が必要になるので、時々子供の誤飲に関しての質問などが来ますので日用品に含まれる化学物質の知識は大切です。
日用品に含まれる化学物質
(例)洗剤(界面活性剤)
漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム、過炭酸ナトリウムなど)
殺虫剤(有機リン系物質)
乾燥剤(シリカゲル);中毒の心配はほとんどなし
化粧品
たばこ(ニコチン);幼児なら半分で致死量、浸透液は要注意
マッチ(塩素酸カリウム);2~3本なら無害、15本以上で吐き気、腹痛
など。
このような日用品の誤飲、誤食はほとんどの場合は少量であれば中毒を起こすことは無いので、牛乳やお茶、水を飲ませて様子を見るようにアドバイスします。出来れば吐かせるようにしたいが、吐かせると誤嚥につながることもあるので注意が必要です。もし心配なら救急外来を受診させるように説明する。
SBOs970;劇薬・毒薬・麻薬・向精神薬及び覚せい剤原料の適切な管理と取扱いが
説明できる。(知識・技能)
SBOs971;特定生物由来製品の適切な管理と取扱いを体験する。(知識・技能)
管理と取扱いに特に注意が必要な医薬品に関する項目です。
劇薬・毒薬は保管に関する規制があり「薬機法第48条」に、他のものと区別をして貯蔵し又は陳列することとされる。毒薬は、鍵の施されている保管庫に保管しなければならない。
麻薬は、「麻薬及び向精神薬取締法」の規制を受ける医薬品ですので取り扱いには十分な注意が必要です。麻薬を含む処方箋を受け付けた時には必ず、「麻薬施用者免許証番号」と「患者住所」の記載の有無を確認してから調剤を始めます。さらに、1日14日分、30日分の投与制限があるので注意する。また、第39条により帳簿を備え、その記載事項も詳細に義務付けられています。
(1)譲り受けた麻薬の品名、数量、年月日
(2)許可を受け、譲り渡し又は廃棄した麻薬の品名、数量、年月日
(3)施用した麻薬の品名、数量、年月日
(4)自己麻薬として届け出た麻薬の品名、数量、年月日
この帳簿は、最終記載の日から2年間保管する。
向精神薬も同様に、「麻薬及び向精神薬取締法」により厳しい規制があります。第1種、第2種、第3種に分類され取扱い上の規制は異なります。1日30日分、90日分と限度が異なるものがあるので必ず投与日数を確認する。
薬局で所有する向精神薬について、下記の数量以上の滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、すみやかにその向精神薬の品名、数量その他事故の状況を明らかにするために必要な事項を「向精神薬事故届」により都道府県知事に届け出てください。
* 下記以下の量であっても、盗取・詐取等の場合には、都道府県知事に届け出ると共に警察署にも届け出てください。
粉末、散剤、顆粒剤 100グラム(包)
錠剤、ODフィルム剤、カプセル剤、坐剤 120個
注射剤 10アンプル(バイアル)
内用液剤 10容器
経皮吸収型製剤 10枚
特定生物由来製品はすべてが注射剤です。使用対象者の氏名、住所、製品の名称、製造番号または記号、使用した年月日を記録して20年間保存しなければなりませんので注意が必要です。しかし、保険調剤薬局に該当製品があるのでしょうか?
1.特定生物由来製品
次の成分を含有する製剤
- pH4処理酸性人免疫グロブリン
トロンビン(人由来のものに限る)
ヒスタミン加人免疫グロブリン(乾燥)
ヒト血漿由来乾燥血液凝固第XIII因子
乾燥濃縮人血液凝固第XIII因子
フィブリノゲン加第XIII因子
フィブリノゲン配合剤
ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン
ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン
ポリエチレングリコール処理抗破傷風人免疫グロブリン
加熱人血漿たん白(ただし、主成分としての使用に限る)
解凍人赤血球濃厚液
活性化プロトロンビン複合体
乾燥pH4処理人免疫グロブリン
乾燥イオン交換樹脂処理人免疫グロブリン
乾燥スルホ化人免疫グロブリン
乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン
乾燥ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン
乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン
乾燥ポリエチレングリコール処理抗破傷風人免疫グロブリン
乾燥抗D(Rho)人免疫グロブリン
乾燥抗HBs人免疫グロブリン
乾燥抗破傷風人免疫グロブリン
乾燥人フィブリノゲン
乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体
乾燥人血液凝固第IX因子複合体
乾燥濃縮人C1-インアクチベーター
乾燥濃縮人アンチトロンビンIII
乾燥濃縮人活性化プロテインC
乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子
乾燥濃縮人血液凝固第IX因子
抗HBs人免疫グロブリン
抗破傷風人免疫グロブリン
合成血
新鮮凍結人血漿
人ハプトグロビン
人血小板濃厚液
人血小板濃厚液HLA
人血清アルブミン(ただし、主成分としての使用に限る)
人赤血球濃厚液
人全血液
人免疫グロブリン
洗浄人赤血球浮遊液
白血球除去人赤血球浮遊液
ヒト胎盤抽出物
プラセンタエキス(人由来のものに限る)
胎盤加水分解物(人由来のものに限る)
胎盤絨毛分解物(人由来のものに限る)
絨毛組織加水分解物(人由来のものに限る)
オクトコグアルファ(遺伝子組換え)
ルリオクトコグアルファ(遺伝子組換え)
インターフェロン-β-1b(遺伝子組換え)
薬局には無い成分でした。
病院実習で学んでもらいましょう。