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薬局実務実習の進め方2019

薬局実務実習11週間(55日)3日目のスケジュール

薬局実務実習11週間(55日)3日目のスケジュールを考える

 

 実習3日目です。学生さんと仲良く取り組んでいますでしょうか?もう、ギクシャクしてないでしょうか?わたくしも、自店舗や系列の薬局でおよそ20名近くの実習に携わってきましたが途中でリタイヤしたり関係が良くなかったりしたことは、

 

 一度もありません(笑)

 わたくしの薬局に来られる学生さんは皆いい子ばかりで、素直に前向きに取り組んでくれます。病院薬剤師希望の学生さんもいらっしゃいましたが、それはそれとして薬局薬剤師の業務も将来役に立つだろうと積極的に業務に取り組んでくれることが多かったです。当たり前ですが、最初は緊張していますしできないことが多いので大変ですが、日を追うごとに本物の薬剤師のようなパフォーマンスができるように必ずなりますので一歩一歩学生さんの歩幅に合わせて取り組んでいけるといいですね。

 学習の主役は、学習者(学生)ですので、大切なのは主役に合わせることだと感じます。55日間はあっという間ですが、長いですのでこのことを忘れず頑張っていきましょう。

 

 実務実習が始まって6週間くらいは、

  (1)薬学臨床の基礎(SBOs885~SBOs909)

  (2)処方箋に基づく調剤(SBOs910~SBOs985)

  (3)薬物療法の実践(SBOs986~SBOs1025)

 

の3項目を意識して薬剤師の業務に参加・体験していただきます。

 実習生の能力は、そこにいるだけでは見えません。実習生がどんな能力をどのようなレベルで持ち合わせているのかを指導薬剤師が確認したいときは、「ちょっとこれやってみて」といって実際にやってもらうことでその実習生が持っている能力が初めて見えます。そのやってもらうことを『パフォーマンス(学習目標)』として位置づけてどの程度、どのレベルで出来るのかを指導薬剤師が確認、フィードバックすることを『評価』と考えます。新コアカリでは、この評価を『概略評価』と『実務実習記録による評価(振り返りレポート)』で行います。

 『概略評価』は、4段階になっているので実習生が日を追ってその能力の質が上がっていくように指導薬剤師は繰り返し実施させ、指導していきます。

4段階のレベルは以下のようなイメージです。

 

 レベル1;薬局の調剤業務に、指導薬剤師の手助けを受けながら実施する

 レベル2;薬局の調剤業務に、アドバイスをもらいながら実施する

 レベル3;薬局の調剤業務に、自分だけで一通り実施する

 レベル4;薬局の調剤業務に、薬剤師と同じレベルで実施する

 

このようなイメージでそれぞれの項目に対して、2~4週間を目安に実習生を評価していき、こう改善すれば次のレベルになるよとフィードバックします。概略評価の特徴は、学習者と指導者の双方がどうすればレベルが変わるのかを確認しあえるし自己評価もできるところです。また、結果だけではなく質が上がっていくプロセスも評価できます。11週間でレベル4になれば最高ですが、実習終了時には3になっていることを目標に取り組めればいいと感じます。

 

 

【3日目】第1週3日目

 

本日のスケジュール(学習目標)        チェックポイントSBOs

 

AM1 P302                 SBOs946、953

    受付時の対応注意事項・初回質問票

AM2 P202                 SBOs993

    医薬品の情報収集・添付文書からの情報収集

PM1 P305                 SBOs922 

    処方箋の確認

PM2 P324~325             SBOs911

    調剤後の処方箋への記入事項・処方箋の保管

PM3 P310                 SBOs927、935

    計数調剤

 

 SBOs946;(前)患者・来局者から、必要な情報(症状、心理状態、既往歴、

       生活習慣、アレルギー歴、薬歴、副作用歴等)を適切な手順で

       聞き取ることができる。(知識・態度)

 SBOs953;患者・来局者から、必要な情報(症状、心理状態、既往歴、

       生活習慣、アレルギー歴、薬歴、副作用歴等)を適切な手順で

       聞き取ることができる。(知識・態度)

 SBOs993;(前)薬物療法に必要な医薬品情報を収集・整理・加工できる。

                              (知識・技能)

 SBOs992;患者の身体所見を薬学的管理に活かすことができる。(技能・態度)

 

 SBOs911;調剤業務に関わる法的文書(処方箋、調剤録等)の適切な記載と保存・

      管理ができる。(知識・技能)

 SBOs927;(前)処方箋に従って、計数・計量調剤ができる。(技能)

 

 SBOs935;処方箋に従って、計数・計量調剤ができる。(技能)

 

 3日目から早速、調剤だけでなく患者様とコミュニケーションをとるSBOsが出てきています。新コアカリでは、できるだけ早い時期に患者様に接することを求めています。それだけ大学の授業でも臨床対応能力を身に付けて現場に来ているという事ですので、失敗を恐れずに積極的に体験させてみましょう。とはいえ、実際は実習生がまだ無理ですという事が結構多いので、指導薬剤師は失敗しないような人当たりの良さそうな患者様を選定してあげましょう。決して現場の薬剤師でも、いつも緊張して指導に当たっている患者様をあてがわないように配慮が必要です(方略)。

 

  SBOs992;患者の身体所見を薬学的管理に活かすことができる。(技能・態度)

 

 小児の処方箋をイメージするとわかりやすいと思いますが、抗生物質などは必ず体重に合った用量で処方がされているかを確認するために、必ず保護者から身長や体重を聞き取ります。厚生局の個別指導では、小児は少なくとも半年に1回は体重を確認するように指導されます。また、既存の患者様であれば薬歴からアレルギー歴や既往歴を確認して、禁忌や慎重投与の薬剤が処方されていないかを確認します。そして、聞き取った情報は次の服薬指導に活かせるように薬歴に記載します。特に注意が必要な情報であれば、電子薬歴ならポップアップ画面に出るような配慮をします。

 普段、薬剤師が処方箋を見た瞬間から何を考えながら調剤、監査をしているのかを実習生に教えるといいでしょう。頭の中がフル回転して多くの情報を処理しながら調剤業務を行っていることを説明すると結構驚かれることが多いです(ただ数を数えて輪ゴムで止めているんじゃないぞと教えてあげてください)。

 

 

 SBOs911;調剤業務に関わる法的文書(処方箋、調剤録等)の適切な記載と保存・

                         管理ができる。(知識・技能)

 

 処方箋は、調剤済みとなった場合は調剤録を作成しなければならないという義務があります。これは、薬局開設者に与えられた法的規制です。法的根拠は、薬剤師法第28条となります。また、健康保険法でも規制があり、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(薬担規則)第5条」により

 保険薬局は、薬剤(特定保険医療材料を含む)の支給に関し、必要な事項を調剤録に記載しなければならない

 とされています。

 調剤録を作成しないと調剤済みとならないので調剤をしていないことになり、保険請求ができませんので注意が必要です。

 また、保険薬局の開設者は調剤録を最終の記入の日から3年間保存しなければならないと薬剤師法第28条、薬担規則第6条に規定があります。

 最近の保険薬局はレセコンに電子保存していることが多いと思いますので、実習生に説明するときにはプリントアウトして必要事項を説明します。

 厚生局の個別指導では、処方箋と別々に保存している場合は疑義照会の内容を調剤録にも記載しなさいと指導を受けます。処方箋の裏に調剤録を記載している場合(一体になっている場合)は、その必要はないようですが別の紙に印刷してあるとそのような指摘が入りますので注意が必要です。また、処方内容に変更があった場合や疑義照会内容の記載についても事務員さんに代筆させていると「これはあなた(薬剤師)の筆跡ですか?」と言われて怒られます。疑義照会内容は、日にち、時間、手段(電話でなど)、対応した人(医師か看護師なら名前)が誰なのかがわかるように正確に記載しておきましょう(薬剤師の名前もフルネーム)。

 

では、4日目に続きます。。。