sikkouyakuin1118’s blog

薬局実務実習の進め方2019

薬局実務実習11週間(55日)1日目のスケジュール

薬学実務実習(薬局)でのスケジュールを考える

 

 新モデルコアカリキュラムへの変更に伴い、システム上も毎日スケジュール(学習目標)を立てることが無くなるようです。多くの大学で、ゼロックスシステムを採用して実務実習を行っていると思われますが、現時点でもゼロックスシステムには以前のようなスケジュールを作成するコンテンツがないので、指導薬剤師の皆様も2月25日から始まる新しい実務実習をどのように進めようか悩んでいるのではないでしょうか?

 

 実際に、わたくしも自店舗では今回は受け入れがありませんがグループ店舗で、どうするのかという相談を受けております。公益社団法人日本薬剤師会が「実務実習の手引き」を書籍化していますが、そこにも11週間のイメージは書かれていますが、毎日の学習目標に関しては記載がありません。これはなぜかというと、これまでのブログにも記載しましたが「評価」の仕方が新コア・カリでは変更があったため、日々の学習目標が必要なくなったからだと考えます。

 この「評価」の仕方には2つあり、「概略評価(ルーブリック評価)」と「実務実習記録による評価」で学生のパフォーマンスを評価することになりました。

 

 「概略評価」とは、学生の行為・遂行をパフォーマンス(学習目標)ととらえ、そのパフォーマンスの「質」を段階的に測定・評価する事を意味し、4段階の評価表で学生の能力を評価します。ここでは、4段階としましたが特に段階の数は決まっていません。今のところ、日本薬剤師会や病院薬剤師会などが4段階の評価表を例示しているので今回は4段階で話を進めさせていただきます。

 

 もう一つの「実務実習記録による評価」とは、いわゆる日誌やレポートによる評価でありこれは今までと特に変わりはありません。学生が実務実習での体験をもとに何を学び、何ができるようになったのかなどを記録して指導薬剤師に提示してもらい、それを元に成長を評価するものです。

 

 「概略評価」は、2~4週間を目安に定期的に行うことが望ましいとされ、「実務実習記録による評価」は特に毎日とか週に1回とかの目安の記載はありませんので、適宜記録させるという事になります。

 

 ただ、11週間(55日間)の実務実習を学生と指導者双方がより充実したものにするには、その日の目標や今日何を学ぶのかを提示する必要はあると思いますので、今後はチェックポイントである「SBOs」を元にスケジュールを立案していきたいと思いますので参考にしていただけると幸いです。

 目安として、今までの実務実習(旧コア・カリ)のスケジュールを参考にしてあります。項目としてなくなってしまったものもあるのですべてに整合性はありませんが、以下のようにスケジュールを立てみました。 

 

 

 F【薬学臨床】に関わるSBOsは大学での事前課題も含めて全部で176項目(885~1060)ありますので、実習中にそのすべてのSBOsをチェックポイントとして活用できるように心がけていきます。ただ、病院実務実習でしか触れられない病院特有のSBOsが20項目ありますので、実質、薬局実務実習では156項目のSBOsに触れられればいいので今後のスケジュールでも156項目を意識してスケジュールしていきます。

 前回の記事にも記載しましたが、実習前半は以下の(1)~(3)の領域に関するSBOsを繰り返し参加・体験して実習生のパフォーマンスの質の向上を目指していきます。

 

 (1)薬学臨床の基礎

    臨床における心構え 臨床実習の基礎

 (2)処方箋に基づく調剤

    法令・規則などの理解と遵守 処方箋と疑義照会 

    処方箋に基づく医薬品の調製 患者・来局者応対、服薬指導、患者教育

    医薬品の供給と管理 安全管理

 (3)薬物療法の実践

     患者情報の把握 医薬品情報の収集と活用 

    処方設計と薬物療法の実践(処方設計と提案 

                   薬物療法における効果と副作用の評価)

 

 

【1日目】第1週1日目

 

本日のスケジュール(学習目標) チェックポイントSBOs(9項目)

 

AM1 P201           SBOs888、889、890、891

オリエンテーション(倫理規範について) 

AM2 P201           SBOs894

オリエンテーション守秘義務について)

PM1 P301           SBOs895

保険調剤の流れ

PM2 P302           SBOs916、920

処方箋の形式・記載事項

PM3 P101           SBOs967

薬局アイティムの医療の中での役割

 

 【本日活用するSBOs9項目】

 

①SBOs888;医療の担い手が守るべき倫理規範や法令について討議する(態度)。

②SBOs889;患者・生活者中心の医療の視点から、患者・生活者の個人情報や

       自己決定権に配慮すべき個々の対応ができる(態度)。

③SBOs890;患者・生活者の健康の回復と維持、生活の質の向上に薬剤師が

       積極的に貢献することの重要性を討議する(態度)。

④SBOs891;医療の担い手が守るべき倫理規範を遵守し、ふさわしい態度で

       行動する(態度)。 

⑤SBOs894;職務上知り得た情報について守秘義務を順守する(態度)。

 

⑥SBOs895;薬局における薬剤師業務全体の流れを概説できる(知識)。

 

⑦SBOs916;処方箋の様式と必要記載事項、記載方法について説明できる(知識)。

⑧SBOs920;処方箋の記載事項(医薬品名、分量、用法用量等)が適切であるか

       確認できる(知識・技能)。

 

⑨SBOs967;医薬品の供給・保管・廃棄について適切に実施できる(知識、技能)。

 

  実務実習初日は、当たり前ですが実習生はこちらの想像以上に緊張しています。各スタッフに個別に挨拶、紹介を済ませますが朝礼でもそれぞれが自己紹介をして緊張をほぐしていきましょう。わたくしの薬局では、自己紹介と11週間の目標を実習生に発表してもらいます。

  

 

**ウェルカムボードの作成**

店舗の全スタッフを紹介したボードを作成し、実習生の緊張をほぐします。

ボードには、顔写真、趣味、実習生に一言などを記載してそれぞれの個性を知っていただくような記載をします。

 

 初日としては、少しボリュームが多い内容となっていますが、業務の流れの中で各SBOsに触れながら実務実習を進めていけるといいですね。次回以降も日々のスケジュールを立案し、内容の詳細にも触れていきたいと思います。