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薬局実務実習の進め方2019

薬局実務実習11週間(55日)5日目のスケジュール

薬局実務実習11週間(55日)5日目の

スケジュール

 

 実務実習は、薬局という「本物の現場」の中で一連の業務を通して学習できるのが特徴です。処方箋に基づく薬局業務で考えると、処方箋の受付から始まり、調剤、監査、服薬指導という流れがあり、薬学的観点からその処方箋に不備や異議が認められれば疑義照会を行い、患者様が安心・安全にその医薬品を使用できるようすることが薬局薬剤師の使命となります。そして、服用後に体調がどう変化したのかや副作用の有無を随時確認することで服用の妥当性を判断していきます。

 

 実務実習が毎日進行していく中で、実習生が現時点でどのレベルに到達しているのが妥当なのかを指導薬剤師は常に確認しながら進めていくことが大切になります。まだ5日目ですので到達しているレベルはそれほど高くないと思われますが調剤薬局の中心的業務の「処方箋に基づく調剤」においては前半部分である「調剤」に関しては、間違えずに取りそろえることができるレベルにいれば実習は順調に進んでいると判断できると考えます。

 指導薬剤師が実習生のレベルを随時判断・確認することを学習成果基盤型教育(OBE)では、カリキュラムの3要素の「評価」といいます。

「処方箋に基づく調剤」に関しては、「概略評価表」による評価を行うことになります。各項目ごとに、日本薬剤師会が設定している4段階の評価表が提示されていますのでそちらを参考にして指導薬剤師は実習生を評価していきます。

 

 こちらに日本薬剤師会が設定した評価表を記載しておきますのでこれを参考にして随時実習生を評価していきましょう。

 

【医薬品の調製】

   アウトカム;より本格的な医薬品の調製や供給・管理ができる

 

 第1段階;基本的な処方箋の計数・計量調剤ができている。また、医薬品の供給

      について薬局内の基本的な医薬品の在庫管理ができている。

 

 第2段階;一般的な計数・計量調剤や調剤上の工夫等の対応ができている。また、

      医薬品の性質を理解し、薬局の管理手順に従い供給・管理ができる。

 第3段階;複雑な処方箋であっても再現性良く、スムーズかつ正確な調剤ができる。

      個々の患者の病状や状態を確認し、調剤上の工夫を提案できる。

      また、薬局で使用されるすべての医薬品を適切な手順で記録し、保管が

      できている。

 第4段階;アドヒアランスを考慮し、新たに収集した患者情報や薬歴等を参照して

      医薬品の調製ができている。また、薬局で使用されているすべてのアイ

      ティムを適切な手順で記録し、保管できている。

 

 アウトカムとは学習成果であり、学習者が持っている能力を表したものとなります。すなわち、こんな能力を身に付けてほしい、こんな能力を持っていればこんなことができるはずという事を見える化したものになります。

 この評価表でもわかりますが、実務実習が進むにつれて「モノ」だけでなく「ヒト」に対しても関わっていけるようになるのが目標だという事が読み取れます。実務実習終了時には実習生が現場の薬剤師のようにただ薬を作って渡すだけでなく、渡した後に患者様がどうなったのかを考えられる、患者の視点に立った業務が行えるようになっているといいですね。

 このようにみると、5日目で第一段階に到達していればむしろ優秀な気もします。

 では、本日のスケジュールを例示します。 

 

 

 【5日目】第1週5日目

 

 本日のスケジュール(学習目標)   チェックポイントSBOs

 

 AM1 P328            SBOs972、974、981

    調剤事故・調剤過誤

 AM2 P333            SBOs982

    インシデントレポートについて

 PM1 P327            SBOs899、907

    調剤報酬の仕組み

 PM2 P323            SBOs916

    調剤録について

 PM3 P104            SBOs969、961

    アイティムの管理

 

 SBOs972;(前)処方から服薬(投薬)までの過程で誤りを生じやすい事例を列挙

                                   できる。

 SBOs974;(前)代表的なインシデント(ヒヤリハット)、アクシデント事例を解析

       し、その原因、リスクを回避するための具体策と発生後の適切な対処法

       を討議する。(知識・態度)

 SBOs981;施設内のインシデント(ヒヤリハット)、アクシデント事例を解析

       し、その原因、リスクを回避するための具体策と発生後の適切な対処法

       を討議する。(知識・態度)

 

 SBOs982;施設内の安全管理指針を遵守する。(態度)

 

 SBOs899;(前)薬剤師の関わる社会保障制度(医療、福祉、介護)の概略を説明

                                   できる。

 SBOs907;保険評価要件を薬剤師業務と関連付けて概説することができる。

 

 SBOs916;(前)処方箋の様式と必要記載事項、記載方法について説明できる。

 

 SBOs969;医薬品の適正な採用と採用中止の流れについて説明できる。

 

 SBOs961;(前)劇薬、毒薬、麻薬、向精神薬および覚せい剤原料等の管理と

       取扱いについて説明できる。

  

 関連法規は、必ず理解しておく必要があります。よく厚生局の集団的指導でも言われますが、法律は「知らなかった」では済まされないので、われわれ薬剤師も実務実習の中で復習して理解を深めておきましょう。

 

 

  SBOs982;施設内の安全管理指針を遵守する。(態度)

 

 インシデントレポートはどこの薬局でもそれぞれのフォームをお持ちだと思います。

わたくしの薬局でも、「調剤過誤防止委員会」という委員会を設置して、日頃からヒヤリハットを含めて調剤ミスや調剤過誤が発生した時には速やかに委員長に報告するように定義しています。定期的に、集まったヒヤリハット、調剤過誤を分析して1例でも薬局から医療事故が減るように努めています。

 以下の様式で委員長に報告するようにしています。(日本薬剤師会の様式です)

実習生にも、実際に起こってしまった調剤事故を例に、報告書の記載を練習してもらうようにしてます。また、近年全国で起こってしまった調剤事故をネットなどで検索、調査をしてもらい調剤ミスが時には患者様の健康に重大な被害をもたらしてしまうことを認識してもらい、薬剤師業務には大きな責任があることを教えます。

 

調剤事故(過誤)報告書
    社内用(株)○○薬局用  社外秘    
      平成     年     月   日(    )報告
報告者名:     薬局名:
最終責任者:  

 常勤・非常勤/男 ・ 女/    歳/

  調剤経験    年

監査責任者:

 常勤・非常勤/男 ・ 女/    歳/

   調剤経験     年

患者氏名:              

年齢:        歳

    患者性別:  男性   ・   女性  
調剤日時:    年  月 日   時頃 判明日時:  年  月    日    時頃
処方内容(処方せんコピー添付)・事故の概要:
       
       
薬局への事故報告者:    
   □患者本人       □患者の家族(続柄:        )   □処方せん発行医療機関 
   □処置した医療機関  □他薬局薬剤師 □その他(                                                )
薬局への通報内容・事故発見の経緯:    
       
       
事故原因:      
       
       
被害状況:      
       
       
事故レベル:    
□観察、検査のみ必要  □治療必要  □後遺症有り(                       )  □死亡
薬局の対応:    
       
       
関係機関への連絡状況(報告先):    
都道府県薬剤師会(担当者名:                )□ 保健所等(                )
□ 警察(                  )□損保会社(会社名・担当者        )
処方医への連絡;    
薬局のとった再発防止策等:
       
                                   日薬版0511(改)