sikkouyakuin1118’s blog

薬局実務実習の進め方2019

薬学実務実習 新モデル・コアカリキュラムに即した実習とは?(2)

プロセス基盤型教育」と

    「学習成果基盤型教育」の違い。

 

 薬学実務実習の進め方が2019年から変わる理由がこれです。すなわち、薬学教育の概念が今までは「プロセス基盤型教育」だったのですが、今年度から実務実習に来る学生からは1年生の時から「学習成果基盤型教育」という教育概念の元、薬学教育を受けているという事になります。

 

 

「プロセス基盤型教育」と「学習成果基盤型教育」の違い

 何を教えたかではなく、学ぶことによって何ができるようになった(パフォーマンス)かに重点を置いた教育概念に移行。

 プロセス基盤型教育の特徴は、いわゆる「積み上げ式」の教育です。こんなことを、順を追って教えればこんな薬剤師が誕生するだろうという発想の教育概念。

一方、学習成果基盤型教育は、まず「いい薬剤師」「社会が求めている薬剤師」とは、

という社会のニーズから理想の薬剤師を発想し、その「理想の薬剤師」を誕生させるにはどういった教育が望ましいかを考えて教育を学生に提供するといった発想の教育概念です。いずれにしても、教育とは学習者の行動に『価値ある変化をもたらすプロセス』であることにおいては、変更はありません。

では、実際の現場で行われる実務実習では何を変えればいいのでしょうか?そのためにはまず「学習成果基盤型教育」とは何かを知っておくのがいいと思います。

 

学習成果基盤型教育(Outcome Based Education)とは

 上にも説明した通り、教育概念です。教育にはカリキュラムがありますが、カリキュラムとは教育活動計画書です。

 カリキュラムは大きく3つの要素から成り立っており、「目標」、「評価」、「方略」がその3要素になります。

学習成果基盤型教育では、この3要素の中身に変更があったために実務実習でも「目標」、「評価」、「方略」をその変更に対応して進めていかなければならなくなったという事になります。

 以下に、3要素の概念を示しますが、この概念自体には特に変更はなく、詳細に設定する中身が変更になっているという事です。

 

【目標】

 教育とは、学習者の行動に価値のある変化をもたらすプロセスである。学習者は学習によって、より望ましい状態に変化する。学習者が目指す、より望ましい状態が目標として明示されなければならない。

 

 変更点としては、プロセス基盤型教育では学習目標を「知識」、「技能」、「態度」に分けて目標としていたものをOBEでは一つの「パフォーマンス」として具体的に表すことになった点です。

 

 パフォーマンスとは

 学習者の「能力」の事。

 学習者の「能力」は、その学習者がそこにいるだけでは見ることができません。では、どうすれば見ることができるでしょうか?

 その「能力」を確認するには、その「能力」を発揮できる「環境(方略)」を指導者が与えて実際に行動してもらうと確認できると考えます。

 パフォーマンスは、「知識」・「技能」・「態度」をすべて含めた行為・遂行なのでそのすべての能力の質を指導者は確認(評価)することになります。

 知識があっても、態度が悪い

 とか

 知識が無くても、愛想はいい

 とか

 態度は悪いけど、一包化は誰よりも早くできる

 とか

これらは、「パフォーマンス」としては低いものとなりますのでOBEではバランス良く

高い質の「パフォーマンス」を発揮できる薬剤師(実習生)を目指します。

  

 

【評価】

 教育活動を効果的に遂行するために、学習者の行動の変化を測定し、測定結果について価値判断を行い、その結果に基づいて意思決定をする。

  **卒業判定、資格認定、進級判定、合否、単位認定など

  **動機づけ、補充学習、学習態度の改善、学習方法の改善など

 

 評価の変更点としては、目標に対して評価をするので目標が「パフォーマンス」として表されるようになったため、必然的にその評価の仕方を変更せざる負えなくなったとイメージするといいでしょう。

 

【方略】

 目標に到達するために学習者がどのような環境で学ぶかが「学習方略」としてデザインされる。学習者が積む学習経験の種類(学習方法)とその順次性および必要な資源(人的資源、物的資源、予算)が具体的に示される。

 

 方略に関しては大きな変更点はありません。学習者が学習を進めていく過程でパフォーマンスの質が高くなっていく様子を確認するときに、どのような環境を準備すればそのパフォーマンスを十分に発揮できるかを検討し提供することは今まで通り変わりないと考えて頂ければ問題ないと思います。

 

 現場の実務実習では、このカリキュラムの3要素を意識して進めていただくことになるわけですが、【目標】と【評価】に関しては、指導薬剤師が考えて作成する必要はありません(当然、意識の高い指導薬剤師はオリジナルを作成してもいいですが)。なぜなら、地域薬剤師会やゼロックスシステムなどに【目標】と【評価】に関する例示がありますのでそれを活用するといいと思います。

一方で【方略】は、その薬局ごとに環境が違いますし、今何を学ばせたいのかで必要になってくる資源が変わってきますのでここは指導薬剤師の腕の見せ所になってくると考えます。

 

 「学習成果基盤型教育(OBE)」に関しては大まかにはこの様な教育概念となります。

次回はいよいよ、11週間のスケジュールを1日ごとに公開していきたいと思います。

ではでは。。。