44日目 薬局実務実習と国家試験
44日目 第9週4日目
チェックポイントSBOs
SBOs888;(前)医療の担い手が守るべき倫理規範や法令について討議する。(態度)
【第100回薬剤師国家試験】
問71
薬剤師を「医療の担い手」と明記している法律はどれか。 1つ選べ。
1 薬剤師法
3 医療法
4 健康保険法
5 国民健康保険法
正解;3
問 72
薬剤師免許に関する記述のうち、正しいのはどれか。 1つ選べ。
1 未成年者、成年被後見人又は被保佐人には、免許は与えられない。
2 免許の申請書は、卒業した大学を経由して厚生労働大臣に提出する。
3 免許の効力は、申請者が免許証を受け取った時から生じる。
4 免許を取り消されても、免許証を厚生労働大臣に返納する必要はない。
5 免許証が破れたという理由では、再交付を申請することはできない。
正解;1
問 73
医療法において、医療提供体制の確保を図るための計画(医療計画)を定める
と規定されているのはどれか。 1つ選べ。
1 国
2 都道府県
3 市町村
4 医療法人
5 保健所を設置する市又は特別区
正解;2
問 74
医師法、歯科医師法、薬剤師法の第一条によって定められる医師、歯科医師、
薬剤師の共通の任務はどれか。 1つ選べ。
1 医療を効率的に提供する体制の確保
2 国民の健康な生活の確保
3 医療を受ける者の利益の保護
4 各職種間の業務連携
5 生命の尊重と個人の尊厳の保持
正解;2
【第101回薬剤師国家試験】
問 322-323
保険薬局の管理薬剤師が、新人の薬剤師に保険調剤について指導を行った。
問 322(実務)
管理薬剤師が説明する内容として、正しいのはどれか。 2つ選べ。
1 調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならな
い。
2 調剤を行った場合は、その翌月末までに、当該調剤に関する必要な事項を調剤
録に記載しなければならない。
3 調剤済みとなった麻薬処方箋の保管期間は、5年間である。
4 後発医薬品に変更可能な処方箋を調剤するときは、患者に対して後発医薬品に
関する説明を適切に行わなければならない。
正解;1 4
問 323(法規・制度・倫理)
保険調剤は、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」に基づくものである。こ
の規則の根拠となっている法律はどれか。 1つ選べ。
1 介護保険法
2 医療法
3 健康保険法
4 薬剤師法
5 医薬品医療機器等法
正解;3
SBOs912;法的根拠に基づき、一連の調剤業務を適正に実施する。(技能・態度)
【第100回薬剤師国家試験】
問144
保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則に関する記述のうち、正しいのはどれ
か。 2つ選べ。
1 保険薬局は、保険調剤に際して、患者に被保険者証の提示を求めることはでき
ない。
2 保険薬局は、後発医薬品の備蓄に関する体制の確保に努めなければならない。
3 保険薬局は、保険医療機関との連携を強化するため、保険医療機関と一体的な
経営を行うよう努めなければならない。
4 保険薬局は、患者が不正行為により療養の給付を受けたときは、意見を付し
て、その旨を全国健康保険協会又は当該健康保険組合に通知しなければならな
い。
正解;2 4
【第101回薬剤師国家試験】
問 73
薬剤師法において、薬剤師が、販売又は授与の目的で調剤したときに、患者又
は現にその看護に当たっている者に対して、情報の提供とともに行わなければなら
ないとされているのはどれか。 1つ選べ。
1 療養の方法の指導
2 薬学的知見に基づく指導
3 療養上の世話
4 処方箋の写しの交付
5 疑義照会の有無の告知
正解;2
問 77
日本国内において就業者数が最も多いのはどれか。1 つ選べ。
1 医師
2 歯科医師
3 薬剤師
4 看護師
5 臨床検査技師
正解;4
平成26年資料で、
医師;約31万人
歯科医師;約10万人
薬剤師;約29万人
看護師;約110万人
臨床検査技師;約6万人
歯科衛生士;約12万人
【第103回薬剤師国家試験】
問 141
調剤された薬剤に関する情報提供及び指導についての薬局開設者の義務とし
て、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 薬剤師に、対面により、情報提供及び指導を行わせなければならない。
2 薬剤師による情報提供及び指導は、書面等を用いて行わせなければならない。
3 薬剤師に、情報提供及び指導を行わせるにあたり、あらかじめ、患者の年齢、
他の薬剤の使用状況等を確認させなければならない。
4 薬剤を交付した患者から相談があった場合には、薬剤師に、情報提供又は指導
を行わせなければならない。
5 薬剤師による情報提供又は指導ができないときは、薬剤を交付した後、薬剤師
にその旨を処方医に連絡させなければならない。
正解;5
薬局開設者は、調剤された薬剤を販売し、又は授与する場合において、薬剤師による情報の提供又は指導ができないとき、その他、薬剤の適正な使用を確保することができないと認められるときは、薬剤を販売し、又は授与してはならない。
薬機法 第9条の3
薬局開設者は、医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤の適正な使用のため、当該薬剤を販売し、又は授与する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、対面により、厚生労働省令で定める事項を記載した書面(当該事項が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下第三十六条の十までにおいて同じ。)に記録されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものを含む。)を用いて必要な情報を提供させ、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。
薬剤師法 第25条の2
薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければならない。
SBOs922;処方箋の正しい記載方法を例示できる。(技能)
【第99回薬剤師国家試験】
問246-247
65歳女性。咳と痰がひどいため近医を受診。保険薬局で薬剤師が以下の処
方せんを受け付け、お薬手帳を確認し処方監査を行った。
(処方)
テオフィリン徐放錠 200mg(12~ 24時間持続) 1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝食後就寝前 28日分
アンブロキソール塩酸塩錠 15mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 28日分
パルミコート 200μg タービュヘイラー 56吸入 (注) 1本
(注:ブデソニド1回吸入量 200μg のドライパウダー吸入式ステロイド薬)
1回1吸入1日2回 朝夕食後 吸入
問 246(実務)
お薬手帳には以下の薬剤が記載されていた。この中で上記処方と併用した場合、
処方医に対し、疑義照会の対象になる薬剤はどれか。2 つ選べ。
1 モンテルカストナトリウム錠
2 フルボキサミンマレイン酸塩錠
3 八味地黄丸エキス顆粒
4 葛根湯エキス顆粒
5 ガスター 10(ファモチジンを含有する一般用医薬品)
正解;2 4
問 247(薬理)
処方された薬剤及びお薬手帳に記載されていた薬剤に関する記述のうち、正しい
のはどれか。 2つ選べ。
1 テオフィリンは、ホスホジエステラーゼを阻害し、気管支拡張作用を示す。
2 ブデソニドは、細胞膜に発現する特定の1回膜貫通型受容体に結合することで
炎症メディエーターの産生を抑制する。
3 アンブロキソールは、肺サーファクタントの産生を促進し、去痰作用を示す。
4 モンテルカストは、5-リポキシゲナーゼを阻害することでロイコトリエンの産
生を抑制する。
正解;1 3
問 322-323
70歳女性。圧迫骨折で入院中であり、以下の薬剤が処方された。昨日から
咳と 38℃の発熱が続いている。
(処方)
イプリフラボン錠 200mg 1回1錠(1日3錠)
メコバラミン錠 500μg 1回1錠(1日3錠)
ジクロフェナクナトリウム錠 25mg 1回1錠(1日3錠)
エペリゾン塩酸塩錠 50mg 1回1錠(1日3錠)
乳酸カルシウム水和物 1回 1g(1日 3g)
1日3回 朝昼夕食後 7日分
問 322(実務)
この処方において、患者の腎機能が低下している場合に、最も注意しなければな
らない薬剤はどれか。1 つ選べ。
1 イプリフラボン錠 200mg
2 メコバラミン錠 500μg
3 ジクロフェナクナトリウム錠 25mg
4 エペリゾン塩酸塩錠 50mg
5 乳酸カルシウム水和物
正解;3
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、腎血流量低下作用により腎機能障害を悪化又は誘発させることがあるため、腎機能障害患者には慎重投与、重篤な腎機能障害患者には投与禁忌とされている。
問 323(法規・制度・倫理)
退院後、この患者は、入院していた医療機関の処方せんとともに、別の医療機関
からの処方せんを保険薬局に持参した。薬局の薬剤師が確認したところ、処方せん
中に重複している薬剤があることを発見した。
処方変更が必要と考え電話で処方医に問い合せたところ、処方医は他の患者の診
察中であり、「処方どおりに調剤してください」とだけ回答があった。その後の薬
剤師の行動として最も適切なのはどれか。 1つ選べ。
1 医師が処方変更に応じないことへの不満を患者に伝えた。
2 処方どおりに調剤し、注意して服用するよう患者に指導した。
3 薬剤師の判断で、重複した薬剤を処方から削除して調剤した。
4 医師の心情に配慮して、次回の処方から変更してもらうことにした。
5 医師に正確に情報が伝わっていない可能性があると考え、再度医師に確認した。
正解;5
実際の現場でも、経験がありそうな症例です。重複していることが判明した時点で、疑わしい点があるわけですから薬剤師は 調剤を始める前に、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならないとなっています。
SBOs949;(前)患者・来局者に使用上の説明が必要な製剤(眼軟膏、坐剤、吸入剤
自己注射剤等)の取扱い方法を説明できる。(技能・態度)
【第101回薬剤師国家試験】
問244-245
58歳男性。糖尿病のため、食事療法及び運動療法に加え、経口糖尿病治療薬による治療を受けていた。効果不十分のため、ペン型インスリン製剤を用いることになった。
問 244(実務)
インスリン製剤の選択に関する記述のうち、誤っているのはどれか。 1つ選べ。
1 超速効型及び速効型インスリン製剤は、インスリンの追加分泌を補うのに用い
る。
2 持効型及び中間型インスリン製剤は、インスリンの基礎分泌を補うのに用い
る。
3 スルホニル尿素系薬を併用する場合、速効型インスリン製剤を用いる。
4 混合型インスリン製剤を毎食前1日3回投与すると、生理的なインスリン動態
に近づけることができる。
5 速効型インスリン製剤を毎食前1日3回投与し続けると、再び経口糖尿病薬に
反応するようになることが期待できる。
正解;3
スルホニルウレアなどの経口糖尿病薬を継続しながらインスリンを併用する場合は、持続型インスリン製剤が1日1回用いられる。
問 245(衛生)
医療機関に返却された針の廃棄方法で正しいのはどれか。 2つ選べ。
1 回収した使用済み針の処理責任は、市町村が負う。
2 使用済み針と未使用の針は、廃棄前に必ず分別しなければならない。
3 使用済み針は、特別管理一般廃棄物として扱う。
4 使用済み針は、回収後滅菌しても感染性廃棄物と同様の扱いをする。
5 未使用の針は、感染性廃棄物と同様の扱いをする。
正解;4 5
【第103回薬剤師国家試験】
問 290−291 ₇₄ 歳男性。喘息にて近医から下記の薬剤(処方 ₁ 及び処方 ₂ )が処方されていた。呼吸困難を自覚しており、禁煙したにもかかわらず、症状が改善しないた
め、呼吸器内科を受診したところ、新たに COPD(慢性閉塞性肺疾患)と診断さ
れ、追加の処方(処方 ₃ )が行われた。
(処方 ₁ )
オルベスコ ₁₀₀ ng インヘラー ₅₆ 吸入用(注 1 ) ₁ 本
₁ 回 ₂ 吸入 ₁ 日 ₁ 回 朝 吸入
注 ₁ : シクレソニドを含有する加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)。 ₁ 吸入でシ
クレソニドとして ₁₀₀ ng を吸入できる。
(処方 ₂ )
セレベント ₅₀ ng ディスカス(注 2 ) ₁ 本
₁ 回 ₁ 吸入 ₁ 日 ₂ 回 朝就寝前 吸入
注 ₂ : サルメテロールキシナホ酸塩を含有するドライパウダー吸入器(DPI)。
₁ 吸入でサルメテロールとして ₅₀ ng を吸入できる。
(処方 ₃ )
スピリーバ ₂.₅ ng レスピマット ₆₀ 吸入(注 3 ) ₁ 本
₁ 回 ₂ 吸入 ₁ 日 ₁ 回 朝 吸入
注 ₃ : チオトロピウム臭化物水和物を含有する吸入用器具。 ₁ 吸入でチオト
ロピウムとして ₂.₅ ng を吸入できる。
問 290(実務)
吸入剤の服薬指導に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 加圧式定量噴霧吸入器は吸気と噴霧の同調が必要でないため、任意のタイミン
グで吸入するように説明する。
2 ドライパウダー吸入器は自己の吸気で吸入を行うため、十分な吸気力があるか
を確認する。
3 吸入薬は、内服薬と同等の全身性の副作用があると伝える。
4 吸入指導を行う場合は、口頭説明だけではなく、吸入練習器具を用いて実践さ
せることが望ましい。
5 喘息発作時にはオルベスコを使用するように伝える。
正解;2 4
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病といえます。
問 291(病態・薬物治療)
本患者の肺機能検査の結果、以下のような検査値が得られた。また、緑内障を合
併していないことを確認した。本患者の病態及び薬物治療における注意点として、
正しいのはどれか。2つ選べ。
努力肺活量(FVC)2.72 L(予測値:2.98 L)、
1 秒量(FEV₁.₀)1.42 L(予測値:1.86 L)、
PaO2 75 Torr、
PaCO2 46 Torr、
血液 pH 7.37
1 可逆性の換気障害が特徴的である。
2 50% ≦%FEV < 80%であるので、病期はⅡ期中等症である。
3 処方 ₃ の薬剤を使用するにあたって、排尿障害があるか否かを確認する必要が
ある。
4 感染の重症化を防ぐため、インフルエンザワクチン及び肺炎球菌ワクチンを年
1 回、接種するように指導する。
5 在宅酸素療法の適応となる。
正解;2 3
COPDでは、息が吐き出しにくくなっているため、1秒量(FEV1)を努力肺活量(FVC)で割った1秒率(FEV1%)の値が70%未満のとき、COPDと診断されます。
また病気の進行に伴い、1秒量が予測値(年齢、性別、体格が同じ日本人の標準的な値)よりも低くなっていきます。
COPDの病期は予測1秒量に対する比率(対標準1秒量:%FEV1)に基づいて分類されます(下記表)。また、呼吸機能に加えて、長期の喫煙歴などの危険因子、労作時の呼吸困難、慢性的なせきやたんなどから総合的に診断されます。
病期 | 定義 | |
---|---|---|
I期 | 軽度の気流閉塞 | %FEV1 ≧ 80% |
II期 | 中等度の気流閉塞 | 50% ≦ %FEV1 < 80% |
III期 | 高度の気流閉塞 | 30% ≦ %FEV1 < 50% |
IV期 | きわめて高度の気流閉塞 | %FEV1 < 30% |
気管支拡張薬投与後の1秒率(FEV1/FVC)70%未満が必須条件。
1秒量(FEV1): | 最初の1秒間で吐き出せる息の量 |
---|---|
努力肺活量(FVC): | 思い切り息を吸ってから強く吐き出したときの息の量 |
1秒率(FEV1%): | FEV1値をFVC値で割った値 |
対標準1秒量(%FEV1): | 性、年齢、身長から求めたFEV1の標準値に対する割合 |
在宅酸素療法(HOT;Home Oxygen Therapy)
自宅に酸素供給機を設置し、必要時あるいは24時間、酸素吸入をすることが在宅酸素療法で、慢性呼吸不全患者の生命予後の改善などに役立っておりまた、家庭での酸素投与によって在宅療養や社会復帰を可能にしています。費用は健康保険が適応されます。
① Pao2 55Torr未満は絶対適応
② Pao2 55~60Torrでも、睡眠時や運動時に低酸素状態の悪化がみられる時
③ パルスオキシメーターで88%以下
④ 肺高血圧症を伴なうとき