42日目 薬局実務実習と国家試験
42日目 第9週2日目
チェックポイントSBOs
SBOs942;特別な注意を要する医薬品(劇薬・毒薬・麻薬・向精神薬・抗悪性腫瘍薬
等)の調剤と適切な取り扱いが出来る。(知識・技能)
【第100回薬剤師国家試験】
問334
麻薬の取扱いに関する以下の記述のうち、行わなければならない行為はどれ
か。 2つ選べ。
1 麻薬譲受証及び麻薬譲渡証をもって譲受し、検収時にロット番号を確認する。
2 麻薬帳簿とともに、 鍵をかけた堅固な金庫内に保管する。
3 麻薬処方箋に、麻薬施用者の記名押印又は署名、免許証の番号が記載されてい
ることを確認する。
4 使用済みの貼付剤は、すべて回収し、記録後に廃棄する。
正解;1 3
【第102回薬剤師国家試験】
問75
薬局で向精神薬を取扱う場合、法令に基づいて届出が必要とされているのはど
れか。 1つ選べ。なお、薬局は、向精神薬営業者に関して別段の申し出はしていな
いものとする。
1 処方箋に基づく譲渡
2 他の薬局への譲渡
3 向精神薬卸売業者からの譲受
4 廃棄
5 一定量以上の滅失、盗取等の事故
正解;5
薬局開設者は、都道府県知事に別段の申し出をしない限り、向精神薬卸売
業者及び向精神薬小売業者の免許を受けたものとみなされる。
向精神薬取扱者(向精神薬卸売業者、向精神薬小売業者)は、その所有する
向精神薬につき、厚生労働大臣が定める量以上の滅失、盗取、所在不明その
他の事故が生じたときは、速やかに、その向精神薬の品名及び数量その他の
必要事項を大臣又は都道府県知事に届け出る必要がある。
問268-269
40歳女性。卵巣がんを原発とした多発性骨転移による疼痛があり、以下の
処方が出されている。疼痛コントロールは良好であったが、2日前から、突然に我
慢できない痛みが1日2~3回程度出現するようになった。主治医よりレスキュー
薬の問い合わせがあった。
(処方)
オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠 40mg 1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝夕食後 14日分
問 268(実務)
医師に提案する薬剤とその1回用量の組合せとして適切なのはどれか。 1つ選べ。
薬剤 用量【原薬量】
1 オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠 40mg
2 オキシコドン塩酸塩水和物散 60mg
3 モルヒネ硫酸塩水和物徐放錠 120mg
4 フェンタニルクエン酸塩舌下錠 100μg
5 フェンタニルクエン酸塩経皮吸収型製剤 6mg
正解;4
レスキュー薬とは、突発的な痛みに対して頓服で用いる服用方法で
即効性を期待するものである。
したがって、1、3、5のような即効性が期待できない製剤はレス
キューとしては不適である。
また、レスキュー薬は通常使用量よりも少量で使用するものなので
2は用量が多くて不適です。
問 269(薬剤)
オキシコドンの体内動態に関する記述のうち、正しいのはどれか。 2つ選べ。
1 オキシコドン塩酸塩水和物徐放錠は、肝初回通過効果の回避を目的とした製剤
であり、薬物は主に直腸から吸収される。
2 オキシコドンは水溶性が高く、主に能動輸送により消化管から吸収される。
3 母乳の pH は、一般に血漿 pH と比較して酸性側にあるため、弱塩基性薬物で
あるオキシコドンは母乳中に移行しやすい。
4 オキシコドンは、大部分が肝代謝により消失するため、健常人に比べ肝障害の
ある患者では血中濃度時間曲線下面積が増大する。
5 オキシコドンは、臨床用量の範囲において投与量と血中濃度の関係が非線形性
を示すため、治療薬物モニタリング(TDM)を行うことが推奨される。
正解; 3 4
オキシコドンは脂溶性が高く、主に受動拡散によって消化管から吸収される。
母乳のpH;約6.6 血漿のpH;約7.4
SBOs980;調剤ミスを防止するために工夫されている事項を具体的に説明できる。
【第101回薬剤師国家試験】
問 88
「1件の重大事故の背後には 29件の小さな事故があり、その背景には 300件の
事故に至らない事例がある」という経験則はどれか。 1つ選べ。
1 ドミノの法則
3 マーフィーの法則
4 ムーアの法則
5 メラビアンの法則
正解;2
【第103回薬剤師国家試験】
問 308−309
薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(以下
「体制省令」という。)には、薬局において調剤の業務に係る医療の安全を確保
するために必要な措置として、従業者に対する研修が定められている。この研修と
して、薬局の過去のヒヤリ・ハット事例報告を薬剤師全員で確認し、以下の事例を
検討した。
(処方)
ノルバデックス錠 ₁₀ mg ₁ 回 ₂ 錠( ₁ 日 ₂ 錠)
₁ 日 ₁ 回 朝食後 ₁₄ 日分
この処方に対してノルバスク錠 ₁₀ mg ₁ 回 ₂ 錠( ₁ 日 ₂ 錠)₁₄ 日分を調剤し
た。薬剤交付時に患者に「高血圧の薬」であることを説明した際、患者が間違いに
気づいた。
ノルバデックス錠:成分名 タモキシフェンクエン酸塩
ノルバスク錠 :成分名 アムロジピンベシル酸塩
問 308(実務)
この事例から取り間違いの再発を防止する方法として、適切でないのはどれか。
1つ選べ。
1 処方箋記載の医薬品名を声出し確認するとともに、錠剤棚の貼付ラベルの医薬
品名も声出し確認する。
2 取り間違いをした薬剤師はその作業から外す。
3 錠剤棚に「類似名称医薬品有り」の注意喚起のシールを貼る。
4 類似名称医薬品の薬品棚の配置を見直す。
5 類似名称医薬品の組合せ表を作成してスタッフに周知する。
正解;2
ある意味、適切(笑)。
問 309(法規・制度・倫理)
研修のほか、体制省令に定められている調剤の業務に係る医療の安全を確保する
ために必要な措置に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 医薬品の安全使用のための責任者の設置
2 医薬品の安全使用等の業務に関する手順書の作成
3 調剤の業務に係る医療の安全を確保するための指針の策定
4 従事者から薬局開設者への事故報告体制の整備
5 調剤過誤に関する懲罰の設定
正解;5
ある意味、誤ってない。
SBOs1006;治療ガイドライン等を確認し、科学的根拠に基づいた処方を立案できる。
【第101回薬剤師国家試験】
問 181
72歳男性。1年前より、一定の距離を歩行すると右のふくらはぎ(腓腹筋)に
痛みを感じていたが、歩行をしばらく中止すると改善するので、放置していた。
1ヶ月前から次第に症状が悪化してきたため、近医を受診した。このとき測定した
血圧は、以下の通りであった。また MRIで右総腸骨動脈に閉塞を認めた。この患
者に対する治療薬について、医師から薬剤師に相談があった。提案すべき適切な薬
剤はどれか。 2つ選べ。
(血圧)
左 上腕 138/72mmHg 足関節 152/78mmHg
右 上腕 134/70mmHg 足関節 94/52mmHg
1 ワルファリンカリウム
2 シロスタゾール
3 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
4 リバーロキサバン
5 サルポグレラート塩酸塩
正解;2 5
下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の症状が出現しているので、末梢閉塞性動脈
疾患の治療ガイドラインに沿って治療方法を提案する。
ASOの診断基準としての足関節上腕血圧比 (ABI値)を 0.90 未満と定義する
研究と ABI 0.90 以下と定義する研究が混在しているが、いずれにしてもこの患
者は0.7でありASOと考えられる。
ASOの適応がある薬剤は、シロスタゾールとサルポグレラート塩酸塩です。
問 182
65歳男性。慢性閉塞性肺疾患の既往歴あり。数年前から労作時に息切れ、動悸
を覚えるようになった。数日前から風邪様症状が出現し、夜間咳嗽、喀痰とともに
起坐呼吸の状態となった。
身体所見:身長 172cm、体重 69kg、
血圧 140/85mmHg、脈拍 108/分(不整)、
頸静脈怒張、収縮期雑音、下肢の浮腫著明。
検査所見:BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)716pg/mL
(基準値 18.4pg/mL以下)。
胸部X線写真:心胸郭比(CTR)71.5%、
心電図:心房細動と左室肥大。
この患者に対する治療薬について、医師から薬剤師に相談があった。提案すべき
治療薬として適切でないものはどれか。2 つ選べ。
1 リシノプリル水和物
2 フロセミド
3 カルペリチド
4 メキシレチン塩酸塩
5 リキシセナチド
正解;4 5
患者の症状、所見より慢性心不全の急性増悪が疑われるので急性・慢性心不全治療ガイドラインに沿って治療方法を提案する。
(心不全症候;起座呼吸,頚静脈怒張,末梢浮腫,倦怠感)
メキシレチン塩酸塩は、不整脈治療薬ですが頻脈性不整脈(心室性)治療薬であり、心房細動の治療には適さない。
リキシセナチドはGLP₋1作動薬で糖尿病治療薬です。
SBOs1020;薬物治療の効果について、患者の症状や検査所見などから評価できる。
【第100回薬剤師国家試験】
250-251
66歳男性。パーキンソン病と診断され、以下の薬剤で治療してきたが、最近、薬の効果持続時間が短縮してきた。
(処方)
レボドパ 100mg・カルビドパ配合錠 1回1錠(1日3錠)
トリヘキシフェニジル塩酸塩錠 2mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 30日分
問 250(実務)
この患者の薬物治療の対応策として、ふさわしくないのはどれか。 1つ選べ。
1 レボドパ 100mg・カルビドパ配合錠を増量する。
2 プラミペキソール塩酸塩水和物徐放錠を追加する。
3 エンタカポン錠を追加する。
4 セレギリン塩酸塩錠を追加する。
5 チアプリド塩酸塩錠を追加する。
正解;5
チアプリド塩酸塩は、中枢のドパミンD2受容体遮断薬であり、副作用としてパーキンソン症候群を起こすことがある。
問 251(薬理)
処方薬および前問中の薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。 2つ選べ。
1 カルビドパは、末梢性芳香族 L-アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害薬で、レボド
パが末梢でドパミンに変換されるのを抑制する。
2 プラミペキソールは、ドパミン神経からのドパミン遊離を促進する。
3 エンタカポンは、ドパミン D₂受容体を刺激する。
4 セレギリンは、モノアミン酸化酵素Bを阻害することによりドパミンの代謝を
抑制する。
5 チアプリドは、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼを阻害する。
正解;1 4
プラミペキソールは、ドパミンD₂受容体を刺激する薬剤。遊離を促進する薬剤は
アマンタジンである。
エンタカポンは、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)を阻害する。
チアプリド塩酸塩錠は、中枢のドパミンD2受容体遮断薬であり、脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、精神興奮、徘徊、せん妄の改善などに用いられる。
【第99回薬剤師国家試験】
問 182
66歳男性。労作性狭心症のため2週間前にカテーテル治療(Percutaneous
coronary intervention, PCI)を受けステントを挿入された。その後退院し、外来
受診となった。
現在の処方薬
1)クロピドグレル硫酸塩錠 75mg 1回1錠 1日1回 朝食後
アスピリン腸溶錠 100mg 1回1錠 1日1回 朝食後
2)アトルバスタチン錠 10mg 1回1錠 1日1回 朝食後
本日の検査結果
LDL-コレステロール 122mg/dL、
HDL-コレステロール 53mg/dL、
トリグリセリド 110mg/dL、
空腹時血糖 90mg/dL、HbA1c(JDS)値 5.6%、HbA1c(NGSP)値 6.0%。
本症例に関する記述のうち、正しいのはどれか。 2つ選べ。
1 脂質検査はすべて正常であり、アトルバスタチンカルシウム水和物の投与を中
止する。
2 血糖はコントロール不良なので、経口糖尿病用薬の追加が必要である。
3 クロピドグレル硫酸塩の血小板凝集抑制作用は、CYP2C19 遺伝子多型により
変動する。
4 アスピリンによる消化性潰瘍の副作用に注意が必要である。
5 抗血小板薬の併用の必要はない。
正解;3 4
61歳男性。2日ほど前から左側腹部に軽度の疼痛があり、皮疹が認められ
た。帯状疱疹と診断され、以下の薬剤が処方された。なお、検査値を確認したとこ
ろ、AST は 31IU/L、ALT は 23IU/L、クレアチニンクリアランスは 40mL/min
であった。
(処方1)
バラシクロビル塩酸塩錠 556mg (注) 1回2錠(1日6錠)
1日3回 朝昼夕食後 7日分
(注:バラシクロビルとして 500mg)
(処方2)
アセトアミノフェン錠 300mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 7日分
問 208(実務)
これらの処方について、提案すべき処方変更として最も適切なのはどれか。
1 つ選べ。
1 バラシクロビル塩酸塩錠 556mg の用法・用量を1回2錠(1日4錠)、1日2
回、朝夕食後投与に変更する。
2 バラシクロビル塩酸塩錠 556mg の用法・用量を1回3錠(1日9錠)、1日3
回、朝昼夕食後投与に変更する。
3 バラシクロビル塩酸塩錠 556mg をアシクロビル錠 400mg に変更し、用法は
そのままとする。
4 アセトアミノフェン錠 300mg をロキソプロフェンナトリウム水和物錠 60mg
に変更し、用法はそのままとする。
5 アセトアミノフェン錠 300mg をチアラミド塩酸塩錠 100mg に変更し、用法
はそのままとする。
正解;1
検査値より、腎機能低下が疑われる。
バラシクロビルは、腎排泄型の医薬品ですので用量の調整が必要です。
アシクロビルに関しては、クレアチニンクリアランスが40ml/minの場合は
減量の必要がなく、1回800mg1日5回服用となっています。