38日目 薬局実務実習と国家試験
38日目 第8週3日目
チェックポイントSBOs
SBOs956;妊婦、授乳婦、高齢者、小児等特別な配慮が必要な患者への服薬指導
において、適切な応対ができる。(知識・態度)
【第103回薬剤師国家試験】
問 282−283 2 歳男児。夕方に発熱があり、同時に痙れんが起こったので近所の
小児科を受診した。その後、母親が処方箋を薬局に持参した。
その処方内容は以下のとおりであった。
(処方 1 )
アセトアミノフェン坐剤 100 mg 1回1個
発熱時 6回分(全 6個)
(処方 2 )
ジアゼパム坐剤 4 mg 1回1個
発熱時 4回分(全 4 個)
(注:アセトアミノフェン坐剤の基剤:ハードファット
ジアゼパム坐剤の基剤:マクロゴール)
問 282(実務)
薬剤師が坐剤の使用経験を確認したところ、坐剤の併用は初めてとのことであっ
た。そこで、この 2種類の坐剤の併用方法について説明した。その内容として適切
なのはどれか。1つ選べ。
1 アセトアミノフェン坐剤を先に挿入し、熱が下がってからジアゼパム坐剤を挿
入してください。
2 ジアゼパム坐剤を先に挿入し、 3~5 分ほどしてからアセトアミノフェン坐剤
を挿入してください。
3 アセトアミノフェン坐剤を先に挿入し、 3~5分ほどしてからジアゼパム坐剤
を挿入してください。
4 ジアゼパム坐剤を先に挿入し、30分以上してからアセトアミノフェン坐剤を挿
入してください。
5 アセトアミノフェン坐剤を先に挿入し、30分以上してからジアゼパム坐剤を挿
入してください。
6 アセトアミノフェン坐剤を挿入したら、直ちにジアゼパム坐剤を挿入してくだ
さい。
正解;4
問 283(薬剤)
前問の投与順を選択した理由として適切なのはどれか。1つ選べ。
1 アセトアミノフェン坐剤とジアゼパム坐剤を同時に投与すると、直腸内で両主
薬の溶解度が上昇し、吸収量が増加する。
2 アセトアミノフェン坐剤とジアゼパム坐剤を同時に投与すると、主薬間で不溶
性の複合体を形成し、吸収量が減少する。
3 ジアゼパム坐剤を先に投与すると、アセトアミノフェンがマクロゴールに分配
し、吸収量が減少する。
4 アセトアミノフェン坐剤を先に投与すると、ジアゼパムがハードファットに分
配し、吸収量が減少する。
5 マクロゴールによってハードファットが不溶化し、アセトアミノフェンの溶出
量が減少する。
正解;4
【第102回薬剤師国家試験】
1歳男児。耳鼻科を受診し中耳炎と診断され、以下の薬剤が処方された。
母親が処方箋を持参し、薬局を訪れた。
(処方)
セフジトレン ピボキシル細粒 10% 1回 0.5g(1日 1.5g)
1日3回 朝昼夕食後 5日分
問 210(実務)
この薬剤についての母親への説明として適切なのはどれか。 2つ選べ。
1 症状の有無にかかわらず、5日間は飲み続けてください。
2 まれに痙れんしたり、意識を失うようなことがありますので、その際は直ちに
受診してください。
3 下痢が起こることがありますが、よくある副作用なので心配ありません。
4 尿が赤くなることがありますが、心配ありません。
5 甘味がつけてあり、苦みを感じることはありません。
正解;1 2
問 211(物理・化学・生物)
セフジトレン ピボキシルに関する記述のうち、正しいのはどれか。 2つ選べ。
1 ペネム骨格を有している。
2 β-ラクタム環のカルボニル基の炭素の求電子性は、一般的な鎖状アミドのカル
ボニル基の炭素に比べて低くなっている。
3 細菌中のペプチドグリカン合成酵素との間で、β-ラクタム環の開環を伴って共
有結合を形成することにより、細胞壁の生合成を阻害する。
4 セフジトレンのカルボキシ基を構造修飾することにより、経口吸収性が改善さ
れたプロドラッグである。
5 生 体 内 で の 加 水 分 解 反 応 に よって、セ フ ジ ト レ ン、酢 酸 及 び ピ バ ル 酸(2,2-dimethylpropanoic acid)を生じる。
正解;3 4
SBOs1005;代表的な疾患の患者について、診断名、病態、科学的根拠等から
薬物治療方針を確認できる。
【第100回薬剤師国家試験】
35歳女性。妊娠初期に妊娠糖尿病と診断され、食事療法を行っていたが血糖コント
ロールが不良となったため、薬物療法の開始が検討された。
問 268(実務)
この患者に用いる薬物として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1 アカルボース
2 ヒトインスリン(遺伝子組換え)
3 シタグリプチンリン酸塩水和物
4 ナテグリニド
5 メトホルミン塩酸塩
正解;2
妊娠中に血糖コントロールが不良となった場合には、経口血糖降下薬は
投与せず、インスリンを使用する。
問 269(薬剤)
薬物の胎盤透過に関する記述のうち、正しいのはどれか。 2つ選べ。
1 一般に、分子量 5,000以上の薬物も透過して胎児へ移行する。
2 胎盤には P-糖タンパク質が発現し、薬物の胎児への移行を促進している。
3 多くの薬物の胎盤透過は、pH 分配仮説に従う。
4 一般に、母体中の血漿タンパク質結合形薬物は、胎児へ移行しない。
5 一般に、水溶性の高い薬物ほど胎盤を透過しやすい。
正解;3 4
1 分子量1,000以上のものは通過しにくい。
2 胎児への移行を制御している。
5 脂溶性の高い薬物が透過しやすい。
【第103回薬剤師国家試験】
45歳女性。 4年前2型糖尿病と診断され、グリメピリド錠とボグリボース錠
による薬物治療を開始した。最近の検査の結果より、主治医は以下の薬剤を
追加した。患者はその処方箋を薬局に持参した。
(処方)
イプラグリフロジン L︲プロリン錠 ₅₀ mg ₁ 回 ₁ 錠( ₁ 日 ₁ 錠)
₁ 日 ₁ 回 朝食後 ₁₄ 日分
問 216(物理・化学・生物)
追加されたイプラグリフロジンは、Na+/グルコース共輸送体(SGLT)のうち、
SGLT₂ の選択的阻害薬である。SGLT 及びグルコース輸送体(GLUT)によるグ
ルコース輸送に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 SGLT₂ は、主に消化管におけるグルコースの吸収に関与する。
2 細胞膜にある GLUT によるグルコースの輸送は、グルコースの濃度勾配に従
う。
3 SGLT₂ は、Na+ の濃度勾配を利用してグルコースを輸送する。
4 GLUT は、グルコースと同様にマルトースを輸送する。
5 血液中のグルコースは、尿細管において SGLT₂ によって原尿中に分泌される。
正解;2 3
SGLT2選択的阻害薬は、尿中のグルコースの再吸収を阻害することにより、
尿中のグルコース濃度を増加させる。
問 217(実務)
SGLT₂ 選択的阻害薬の副作用として誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 低血糖
2 尿路感染症
3 脱水
4 血圧上昇
5 体重減少
正解;4と思われるが、副作用に血圧上昇が認められるSGLT₂阻害剤も存在する
ため、解なしとなる。
SBOs1016;医薬品の効果と副作用をモニタリングするための検査項目とその実施を
提案できる。(知識・技能)
【第103回薬剤師国家試験】
問 276−277
69歳男性。 7年前から高血圧と糖尿病のため、エナラプリルマレイン酸塩、
メトホルミン塩酸塩及びグリメピリドを服用している。
これまで特に問題なく過ごしていたが、最近、動悸を感じるようになり病院を受
診した。心電図から心房細動と診断され、以下の薬剤が追加処方された。
(処方 ₁ )
ベラパミル塩酸塩錠 40mg1 回 1錠( 1日 3 錠)
1日 3 回 朝昼夕食後 7 日分
(処方 ₂ )
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩カプセル 75 mg
1回 2カプセル( 1日 4 カプセル)
1 日 回 朝夕食後 7日分
なお、患者の身体所見及び検査値などは次のとおり。
身長 176 cm、体重 72kg、
血圧 ₁₄₈/₉₃ mmHg、体温 37℃、心拍数 161回/min(不規則)、呼吸数 15回/min、
BUN 21mg/dL、Scr 1.7mg/dL、Ccr 42mL/min、AST 14U/L、ALT 16U/L
問 276(実務)
この患者の薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 処方 ₁ の主目的は、血圧を十分に低下させることである。
2 脈拍が不規則なので、プロプラノロール塩酸塩の処方を提案する必要がある。
3 処方 ₂ の代替薬の ₁ つにリバーロキサバンがある。
4 処方 ₂ は心原性脳梗塞の予防目的で処方されている。
5 PT₋INR 値が 2.0~3.0になっているか、モニタリングが必要である。
正解;3 4
問 277(薬剤)
薬剤師は、処方 2について減量を考慮すべきと判断した。その理由として適切な
のはどれか。2つ選べ。
1 ベラパミル塩酸塩との併用により、P₋糖タンパク質が阻害され、消化管吸収が
増大するため。
2 メトホルミン塩酸塩との併用により、尿細管分泌が抑制され、血中からの消失
が遅延するため。
3 腎排泄能力の低下により、血中からの消失が遅延するため。
4 グリメピリドとの併用により、CYP₂C₉ による代謝が低下し、血中からの消失
が遅延するため。
5 肝代謝能力の低下により、血中からの消失が遅延するため。
正解;1 3
問 288−289 68 歳男性。体重 60 kg。高血圧症及び便秘のため下記の処方薬を服用
していた。患者は日中に町内会の夏祭りの準備をしており、水分摂取を
忘れるほど夢中に作業をしたところ、体調不良となり救急搬送された。
救急搬送時の体温は 38.5℃。
血液検査で、血清クレアチニン値が前回受診時の 0.8mg/dL から
2.5mg/dL へと上昇しており、急性腎不全の診断となった。
(処方 ₁ )
エナラプリルマレイン酸塩錠 10 mg 1回1錠(1日1錠)
トリクロルメチアジド錠 2mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 30日分
(処方 ₂ )
酸化マグネシウム錠 330mg 1回 2 錠( 1日 6 錠)
1 日 3 回 朝昼夕食後 14日分
問 288(実務)
この患者の薬学的管理に関する提案のうち、適切でないのはどれか。2つ選べ。
1 ロキソプロフェンナトリウム水和物錠の投与
2 酸化マグネシウム錠の中止
3 エナラプリルマレイン酸塩錠の中止
4 トリクロルメチアジド錠の中止
5 レボフロキサシン水和物錠の投与
正解;1 5
問 289(病態・薬物治療)
急性腎不全の病態と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 不可逆的に腎機能が低下する。
2 低カリウム血症が起こる。
3 腎前性の場合は尿中ナトリウム低値を伴う乏尿が起こる。
4 ビタミン D 活性化障害により腎性貧血が認められる。
5 脱水は急性腎不全の危険因子である。
正解;3 5
SBOs1060;災害時における病院・薬局と薬剤師の役割について討議する。(態度)
【第102回】薬剤師国家試験】
震度7の地震が発生し、多くの住民が家屋を失った。多数の人が狭い避難所や
自家用車の中で1日の大部分を過ごしているので、過去の震災での経験から深
部静脈血栓症/肺血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の発症が危惧
された。
問 216(実務)
被災地支援の薬剤師が避難所等を巡回する際に、エコノミークラス症候群予防の
ために提供する情報として、適切でないのはどれか。 1つ選べ。
1 足の腫れや痛みがある時には、すぐに医療機関を受診してください。
2 ゆったりとした服装で過ごしてください。
3 1、2ヶ月以内に大きな手術を受けた方はご相談ください。
4 水分の摂取を控えてください。
5 足や足の指をこまめに動かしてください。
正解;4
問 217(物理・化学・生物)
肺血栓塞栓症において、下肢静脈で生じた血栓が肺へ到達する経路として、正し
いのはどれか。1 つ選べ。
1 大腿静脈→総腸骨静脈→下大静脈→右心房→右心室→肺静脈→肺
2 大腿静脈→総腸骨静脈→下大静脈→右心房→右心室→肺動脈→肺
3 総腸骨静脈→大腿静脈→門脈→下大静脈→右心房→右心室→肺動脈→肺
4 総腸骨静脈→大腿静脈→下大静脈→左心房→左心室→肺静脈→肺
5 大腿静脈→総腸骨静脈→下大静脈→左心房→左心室→肺動脈→肺
正解;2