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薬局実務実習の進め方2019

薬局実務実習32日目 チェックポイント

薬局実務実習32日目 チェックポイントと学習内容

 

 7週目の2日目となります。

  実務実習もあと5週間になりますので、これから5週間はこれまでに習得した薬学的な知識を活かし、「対人業務」である服薬指導や疑義照会に積極的に参加してもらいます。

日々の処方箋の受付業務や電話応対などで、接遇態度は身について来ていると思いますのでそれらに薬学的な知識を加えて患者様に適切な「知識」、「態度」で応対できるようになることが目標となります。

 

患者・来局者応対、情報提供、教育〔C 服薬指導〕 個々の患者の病状経過を踏まえた薬物療法を分かり易く説明する。治療上の問題点を抽出・解析し、対応策を患者に提案する。


  レベル4
患者の問題点に対する解決策に基づき、患者が理解できるように指導する。病態の変化に応じた処方薬変更の説明と継続的な指導を実践する。


  レベル3
収集した患者や医薬品に関する情報に基づいて、資料を用いて説明し、服薬指導を行う。代表的な疾患に関する治療薬の効果および副作用・特に注意すべき事項等について指導を実践する。


   レベル2
コミュニケーションの基本に基づいた患者応対を行う。服薬指導を行うために必要な患者情報を収集する。

 レベル1

 

 繰り返しになりますが、「概略評価表」のパフォーマンスレベルを意識して服薬指導の「質」が日々上がって行くように指導薬剤師はフィードバックをしながら実習生の「評価」も忘れずに行っていきましょう。

 

【32日目】第7週2日目

 

本日のスケジュール(学習目標)     チェックポイントSBOs

 

AM1 P321              SBOs954

    服薬指導(見学・ロールプレイ)

AM2 P315                                SBOs943

    調剤監査

PM1 P322                                                SBOs952

    服薬指導(実践)

PM2 P308                                SBOs919

    疑義照会シミュレーション

PM3 P405                                SBOs953

    顧客モニタリング

 

 SBOs954;医師の治療方針を理解した上で、患者への適切な服薬指導を実践する。

                               (知識・態度)

 SBOs943;調整された薬剤に関して、監査が実施できる。(知識・技能)

 

 SBOs952;患者・来局者に合わせて適切な応対ができる。(態度)

 

 SBOs919;(前)処方箋に基づいて疑義照会ができる。(技能・態度)

 

 疑義照会も、実務実習中に何度も経験してほしい薬剤師の大切な業務です。疑義照会には、知識はもちろん必要ですが多くの場合は電話で行うことが多いので話し方、ふさわしい「態度」を習得していることが必要です。

丁寧は言葉使いやわかりやすい言葉を使用するように指導薬剤師が手本を見せながら習得することになります。

 

 また、処方箋や薬歴、お薬手帳、患者様との対話の中から実習生が自らの力で疑わしい部分を見つけ出せることができるように繰り返し、調剤業務や監査業務に参加することが大切です。

 

 国家試験でも、疑義照会に関する問題が出題されますので参考にしてください。

 

【第101回薬剤師国家試験】

 問308(実務)

  62歳男性。切除不能の再発直腸がんに対して、カペシタビン(参考;ゼローダ錠300mg)とオキサリプラチン(参考;エルプラット点滴静脈液)併用化学療法を開始することになった。外来化学療法室の薬剤師は、男性には循環器内科の受診歴があり、以下の薬剤を服用中であることを確認した。

 

   メチルジゴキシン錠0.1 mg 1回1錠(1日1回) 朝食後
   ワルファリンK錠1 mg    1回2錠(1日1回) 朝食後
   カンデサルタン錠4 mg   1回1錠(1日1回) 朝食後

 

  

薬剤師は以下の検査データを確認した。化学療法の開始に伴う相互作用による重篤な副作用を回避するため、定期的にモニタリングすべき検査データとして、特に重要なのはどれか。1つ選べ。

 

       1 クレアチニンキナーゼ値
       2 PT-INR値
       3 血清カリウム
       4 血糖値
       5 白血球数

 

 

     正解;2 PT₋INR値

      カペシタビンの添付文書には警告があり、

      本剤とワルファリンKとの併用により、血液凝固能検査異常、出血が発現

      し、死亡に至った例も報告されている。

      これらの副作用は、本剤とワルファリンKの併用開始数日から本剤投与中

      止1か月以内の期間に発現しているので、併用する場合には血液凝固能検

      査を定期的に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと

      と記載があります。

 

 実習生にとっては、すこし難易度が高い疑義紹介の症例です。

薬局で患者様から、既往歴や併用薬をしっかり確認できるかがポイントです。

禁忌ではありませんので、定期的に血液検査でPT₋INRをチェックしているかを聞き出せる事が重要です。

もし、定期的な血液検査をしていないことを聞き出せれば、処方医に疑義照会をして添付文書の情報をお伝えして、判断を仰ぎます。

この場合、いくら処方箋通りに間違いなく調剤しても疑義照会をせずに、調剤済みとなり患者様に健康被害が起こってしまうとなると薬剤師も民事責任、刑事責任、行政責任を負うことになります。

 

 

   問309(法規・制度・倫理)

 カペシタビンは添付文書に休薬期間を設けるように記載されているが、休薬期間を設けない処方がなされた。薬剤師が疑義照会をせずに、そのまま調剤したため、患者に健康被害が生じた。薬剤師が問われる可能性のある法的責任として誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

     1. 民法に基づく不法行為責任
  2. 刑法に基づく業務上過失傷害罪
  3. 薬剤師法に基づく薬剤師業務の停止
  4. 薬剤師法に基づく戒告
  5. 医療法に基づく罰金刑

     

 

    正解;5

      薬剤師の法律上の責任は、

     民事責任;不法行為責任

     刑事責任;業務上過失傷害 

     行政責任;薬剤師法に基づき戒告、業務停止(3年以内)、免許の取消し

     の3つとなります。

     医療法には薬剤師の罰則規定はありません。

 

【第103回薬剤師国家試験】

 

 69歳女性。皮膚科を受診し、四肢の皮膚湿疹に対して以下の処方箋を持ち、初めてこの薬局を訪れた。薬剤師が薬を取りそろえる前にお薬手帳で併用薬を確認したところ、女性はラタノプロスト点眼液を処方されていた。なお、副作用歴やアレルギー歴は無いとのことであった。女性は今回の処方薬を初めて使用する。

(処方1)  
ベタメタゾン・d−クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠
  1回1錠(1日2錠)
  1日2回 朝夕食後 5日分
(処方2)  
エピナスチン塩酸塩錠20 mg 1回1錠(1日1錠)
  1日1回 夕食後 14日分
(処方3)  
ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%   5 g
  1回適量 1日2回 朝夕 四肢の患部に塗布

問306(法規・制度・倫理)

処方監査に基づく疑義照会について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.処方に誤りがあり、疑義があったにもかかわらず薬剤師が疑義照会をせず、そのため患者に健康被害が発生した場合、処方医が損害賠償責任を負うが薬剤師は負わない。


2.疑義照会は、処方医でなくても医師に行えばよい。


3.処方箋中に法令に定められた事項が記載されていない場合には、疑義照会を

   行わなければならない。


4.患者がお薬手帳を持参しない場合には、併用薬はないものとして疑義の有無

   を判断する。


5.疑義照会による医師からの回答の内容は処方箋に記入しなければならない。

 

 

  正解;3.5

  これくらいのレベルであれば実習生でも容易に回答できるレベルと思います。

 

問307(実務)

 これらの処方の疑義照会において、変更を提案すべき処方はどれか。1つ選べ。

 

  1. 処方1
  2. 処方2
  3. 処方3
  4. 処方1と処方2
  5. 処方1と処方3
  6. 処方2と処方3

 

  正解;1

   ベタメタゾン・d−クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠は添付文書上、緑内障患者には禁忌であるので、疑義照会が必要です。

 

 SBOs953;患者・来局者から必要な情報(症状、心理状態、既往歴、生活習慣、

       アレルギー歴、薬歴、副作用歴等)を適切な手順で

                    聞き取ることができる。(知識・態度)