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薬局実務実習の進め方2019

薬局実務実習11週間(55日)16日目のスケジュール

薬局実務実習11週間(55日)16日目の

スケジュール

 

 4週目に入りました。

 

 【1】薬学臨床の基礎(SBOs885~SBOs909)

    ・臨床における心構え

    ・臨床実習の基礎

 【2】処方箋に基づく調剤(SBOs910~SBOs985)

    ・法令・規則等の理解と遵守

    ・処方箋と疑義照会

    ・処方箋に基づく医薬品の調製

    ・患者・来局者応対、服薬指導、患者教育

    ・医薬品の供給と管理

    ・安全管理

 【3】薬物療法の実践(SBOs986~SBOs1025)

    ・患者情報の把握

    ・医薬品情報の収集と活用

    ・処方設計と薬物療法の実践

     ・・処方設計と提案

     ・・薬物療法における効果と副作用の評価

 

 の項目の能力を習得するために、日々現場で実践(参加・体験)しながら実習生も、出来ることが増えてくる時期になります。

 

 実務実習後半から、応用編の項目である

 

 【4】チーム医療への参画(SBOs1026~SBOs1038)

 【5】地域の保健・医療・福祉への参画(SBOs1039~SBOs1060)

 

 の実践項目が入ってきますので、5つの項目を横断的に参加・体験できるように実習を進めていきましょう。現場の薬局によってはすでに個人宅への在宅や施設在宅に実習生が同行して参加・体験している施設もあると思います。

【4】、【5】に関しては、実務実習記録(振り返りレポート)により実習生の習得した能力を評価することになっていますので、忘れずにレポートを書いてもらうようにしておきましょう。 

 

 

【16日目】第4週1日目

 

本日のスケジュール(学習目標)                       チェックポイントSBOs

 

AM1 P204                                           SBOs991

    薬歴からの患者情報の把握

AM2 P305                                                   SBOs1000

    処方箋の確認、処方薬の妥当性

PM1 P317                                                   SBOs923

    服薬指導の基礎、薬歴の意義、

              記載項目

PM2 P406~407                                     SBOs896

    カウンター実習

PM3 P404                                                   SBOs1054

    セルフメディケーション対応

 

 SBOs991;患者・来局者および種々の情報源(診療録、薬歴・指導記録、看護記録

       お薬手帳、持参薬等)から、薬物療法に必要な情報を収集できる。

                             (技能・態度)

 SBOs1000;(前)病態(肝・腎障害等)や生理的特性(妊婦、授乳婦、小児、

        高齢者など)等を考慮し、薬剤の選択や用法・用量設定を

        立案できる。

 SBOs923;薬歴、診療録、患者の状態から処方が妥当であるか判断できる。

                              (知識・技能)

 SBOs896;(前)病院・薬局で薬剤師が実践する薬学的管理の重要性について

                               説明できる。

 SBOs1054;来局者から収集した情報や身体的所見などに基づき、来局者の病状

       (疾患、重症度など)や体調を推測できる。(知識・態度)

 

 4週目になりますので、そろそろ簡単な服薬指導にも行ける知識・技能・態度が身についてきている時期となります。

 これまでに、薬学的な知識が無くてもできる受付業務などで来局者と接し、相手が不快にならない様な適切な態度で接遇が出来るようになってきていると思います。

「接遇」と「接客」は同じようで違うとよく言われますが、簡単な定義としては、

 

  接客;すべてのお客様に区別なく同じ態度で接する

  接遇;個々のお客様のニーズを把握して、そのニーズに合わせて

     オーダーメイドに接する

 

 と言われています。

 最近では薬局でも、「かかりつけ薬局」や「かかりつけ薬剤師」という言葉が示す通り、「この薬局をまた利用したい」とか、「この薬剤師に説明をしてもらいたい」、というように「選ばれる薬局」が国や地域から求められていますので、「接遇」教育に力を入れている薬局も増えてきています。これからの求められる薬剤師像は充分な知識だけでなく、適切・新設な応対もできる、すなわち「知識」「技能」「態度」を十分に兼ね備えていることが必要だという事です。

 

 さて、実際に服薬指導を経験させる時には、本日のSBOsがとても大切になってきます。

 

  ・処方箋

  ・薬歴(服用歴、既往歴、副作用歴、アレルギーの有無等)

  ・お薬手帳

  ・患者様が来局されたときの状態から推測される体調

 

 これらに目を通して、疑問点があれば疑義照会等をして解決したら、いざ!服薬指導に向かいます。われわれ現場の薬剤師は、これらをもとに今日は何をお話しようとか、服用中の体調の変化をいろいろな切り口から患者様が話しやす様にして情報を引き出していきます。

 このわれわれ薬剤師が頭の中で何を考えているのかを「見える化」して実習生に見せてあげることが実務実習ではとても重要です。そのためには、日ごろから指導薬剤師の実際の服薬指導をなるべくたくさん見学させるのが良いと思います(インプット)。

 

 初期の服薬指導では、1~2剤の処方箋の患者様を対象にして

 

  1;「適正使用」

  2;「副作用のモニタリング」

 

 に絞って、実践していただくことが多いです。

 

 【例】 アムロジピンOD錠5mg   1錠

         1日1回 朝食後   28日分

 

      55歳 男性 高血圧治療で5年間服用中 

      併用薬無し

      自覚症状もなく血圧も正常域で安定している

      たばこは吸わないが、お酒は毎日ビールを500ml飲用

 

  実習生に担当してもらうときに、「適正使用」と「副作用モニタリング」に的を

  絞って薬剤師として何を話すのかを書き出してもらいます。

 

   「適正使用」

     毎朝、服用出来ているか

     今日の血圧

     残薬

 

   「副作用モニタリング」

     立ちくらみ

     頭痛

     不眠

 

  最初なので、これくらいの記載があればいいのではないでしょうか。

 あとは、実際に患者様の前に行って緊張の中、どれだけアウトプット出来るかに

 期待します。もちろん、話しやすくて会話の弾みそうな患者様を選んでおきます。

  服薬指導の実践が終わったら、その場で感想や反省点を出し合い次の服薬指導に

 活かせるようにします。とにかく、繰り返し体験してもらうことが重要です。  

 

 

 SBOs923;薬歴、診療録、患者の状態から処方が妥当であるか判断できる。

                              (知識・技能)

 処方箋に疑わしいところがないか、もしあれば実習生自ら発見することができるかをチェックするSBOsです。疑わしいところを発見するには、たくさんの知識が必要です。まずは添付文書の情報をどれだけ把握しているかが大切です。

 保険診療であり、当然薬局も保険請求をするので処方される医薬品が添付文書通りの効能・効果、用法・用量で無ければ疑義照会が必要です。現場の薬剤師も、慣れてくると見逃してしまうので注意が必要です。厚生局の個別指導などで指摘される部分が参考になると思います。

 

 【用法違い】 食前の医薬品が食後の処方になっている

        1日1回服用のものが1日2回で処方されている

        朝・就寝前の服用のものが、朝・夕食後の処方になっている

        就寝前の服用のものが夕食後の処方になっている

        など

 

 【初回から使用しない】 初回投与量が添付文書で決まっている医薬品

             (例)ドネペジル錠 3mgから

                ドキサゾシン錠 0.5mgから

                ナフトピジル錠 25mgから 

                フェブキソスタット錠 10mgから

                など

             ファーストチョイスで使用できないもの

              (例)抗不整脈

                 緑内障治療薬

                  他剤無効例や効果不十分の場合

                 糖尿病治療薬

                  食事、運動療法で十分な効果が得られない場合

                 配合剤

                  第一選択薬としない、と記述あり

                 など

 

 【漫然と投与しない】 メコバラミン

            解熱鎮痛剤

            リマプロストアルファデクス錠

            など 添付文書に「漫然と投与しないこと」と記載がある

 

 【突然の休薬に注意が必要】 パロキセチン

               プレドニゾロン

               カルシウム拮抗薬

               抗てんかん

               などは、休薬による離脱症状に注意(漸減が必要)

 

 

 門前の医療機関との約束や慣例などで、疑義照会をしなくても調剤する症例もあると思いますが実習生にはそのような応用ではなく保険薬局の「王道」を意識して教えるようにしています。